7月12日19時 オペラシティ

コリリアーノ: オスティナートによる幻想曲
ベートーヴェン(リスト編): 交響曲第7番から 第2楽章 アレグレット
リスト:「詩的で宗教的な調べ」S.173から 葬送曲
スクリャービン
練習曲 ト長調 op.65-3
変イ長調 op.8-8
嬰ニ長調 op.8-12 「悲愴」
嬰ヘ長調 op.42-4
嬰ヘ長調 op.42-3
変ニ長調 op.42-6
嬰ハ短調 op.42-5
***
ショパン
24の前奏曲 op.28から 
第23番 へ長調
第22番 ト短調
第18番 へ短調
第13番 嬰へ長調
第10番 嬰ハ短調
第2番 イ短調
スクリャービン: ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」 
ベートーヴェン: エロイカの主題による変奏曲とフーガ op.35
アンコール

前回のショパンコンクールで反田恭平と2位を分け合ったガジェヴ、
インタビュー記事をみると結構な個性派のようで、かねてより聴きたいと思っていた

開演前にガジェヴ からのメッセージが英語、日本語の順で場内に流れ、目を閉じて2分待つように伝えられる
私を含め、従順な日本の聴衆はその命に従い、静かにその時を待ったのであった
最初のコリリアーノはベートーベン7番のアレグレットに想を得た作品だそうだ、アレグレットのリスト編曲が続けて演奏された
考えられた演出ではあったが、私はコリリアーノの作品が今一つ面白くなかった、しかし、新鮮な体験であった
(帰ってからネットを見ると、この始め方はガジェヴのリサイタルの定番のようだ)

続くリストの葬送曲は実に味わい深い演奏だった、
そして、スクリャービンの練習曲はプログラムの順でなく、最後の悲愴が演奏された
何となくショパンの香りがする中、時折、神秘和音が鐘を打つように響いた

後半はショパンから、同じイタリア出身のミケランジェリ、ポリーニの系譜とは明らかに違う演奏なのだが、初めて聴く私には適切な形容が思いつかない
続けて「黒ミサ」演奏された、前半の演奏でも感じたが、ガジェヴの中ではショパンとスクリャービンは繋がっているのだろう、そう思って聴くと実に温かく、優しい黒ミサなので有った

最後は再びベートーベンでエロイカ変奏曲、実演ではあまり聴いたことが無いのだが、そこそこダイナミックな演奏だったという以上の感想は無し
アンコールは4曲、お腹いっぱいのリサイタルでした
ガジェヴ、実に興味深いピアニストだ


 

7月9日19時 サントリーホール

指揮=カタリーナ・ヴィンツォー
チェロ=ユリアン・シュテッケル

コネソン:「ラヴクラフトの都市」から“セレファイス”
矢代秋雄:チェロ協奏曲
アンコール
J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 サラバンド
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73

流石、読響と云うべきプログラムだが、矢張り集客力は欠いたようで、客入りは半分くらいか、少々寂しい
今回が定期に初登場の気鋭の指揮者ヴィンツォーは来日も初めてというオーストリアの女性、
近年読響は年に複数人の女性の指揮者を招聘している、指揮者に女性は少ないが、それでも最近は世界各所で女性の指揮者がオケのシェフを務める例も増えつつあるという
読響事務局は「そんなことはない」と言うかもしれないが、積極的に女性を招聘しているのだろう、おかげで極東の日本で指揮者界の世界の一端を知ることが出来る

コネソンは人気の現代作曲家で、今回の演奏はヴィンツォーの提案で、解説によると「ラヴクラフトの都市」は、曲名にある作家に想を得た3曲から成る作品のうちの1曲だという
10分程度の曲であったが、聴きやすい曲だった以上の感想は無い、できれば3曲全部を聴ければとも思ったが、流石にそれは無理だったのだろう
ヴィンツォーは比較的小柄な女性できびきびとした指揮ぶりであった

2曲目はオケ側からの提案だったそう、矢代秋雄のチェロ協奏曲は代表作だそうだが初めて聴く、カデンツァから始まり、曲の最後にも長いカデンツァが置かれた大胆な構成の作品
チェロのシュテッケルは初めて聴くが、大柄な男性で、指揮台に乗ったヴィンツォーより背が高かった、
矢代の抒情性が感じられるような演奏だったと思う、チェロが主役中の主役であるこの作品は、演奏は大変だが、演奏し甲斐のある曲だったのではなかったのでは
この大胆な作品の構成に合わせる指揮者も大変だったと思うが、ヴィンツォーは見事なサポートだったと思う

後半のブラームスは良い曲なので、大抵の演奏がそれなりに聴こえて仕舞う
今日のヴィンツォーの指揮もオケを総体的に着実に纏めていたが、それ以上の個性は見て取ることが出来なかった、少し前にエッシェンバッハの演奏を聴いて仕舞ったからかも
尤も初来日で、初めて振る演奏に、「個性を」というのは散漫な感想かも知れないが、繰り返しになるがブラームスなので仕方ないのだ

 

7月4日19時 サントリーホール

指揮/ヤクブ・フルシャ
ヴァイオリン/五明佳廉

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 op.26
アンコール
ピアソラ:タンゴ・エチュード第3番
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 WAB104《ロマンティック》(コーストヴェット:1878/80年)

以前フルシャは、首席客演指揮者を務めていたそうだが、残念ながら、その時期の演奏を私は聴いていない
その後、フルシャはN響定期に2回呼ばれ、その時の演奏は聴いている
しかし、いい指揮者との印象はあったのだが、プログラムが好みでなかったこともあり、私には消化不良であった、

ということで、久々の都響への来演を楽しみにしていた、
しかし、今回振る2プロのうち、チェコの作品を中心にしたコンサートはスケジュールの都合がつかず見送った
そして、今日のブル・ブルプロもちょって気を抜いたら完売になっていたので、気合を入れて当日券を購入して臨んだ
CDは購入していなく、何番だったかも忘れたが、フルシャはブルックナーの複数の版の演奏を録音しており、ブルックナーに対してはかなり本格的に取り組んでいる印象があるのだ

1曲目はブルッフ、五明佳廉さんは初めて聴く、ドイツ人の父。日本人の母を持ち、東京生まれだが、ジュリアードなどで音楽教育を受けたという
以前もフルシャは五明と共演しており、今回もフルシャの要望で共演となったそうだが、
油断してた、素晴らしい演奏だった、艶のある音色と、演奏の佇まいに魅せられた、絵になるヴァイオリニストとは彼女のことを指すのではなかろう
フルシャもメリハリが効いた好伴奏

後半のロマンティックは、ホルンの演奏が何か自信なさげで、音に力が無かった
曲の進行はゆったり目を基調とした好みのテンポ、そしてオケの鳴らせ方も巧みだ
ただ曲自体の性格もあるのかもしれないが、個人的には心が動かされる種類の演奏ではなかった
とはいえ、フルシャは改めていい指揮者と思った、歌劇場の仕事も加わり忙しいだろうが、近いうちにまた聴きたいと思った