昔、江戸の町ではどんな野菜を食していたのでしょうか?それを今でも食べているのか?そしてそれは未来永劫可能なのか?など、江戸期から江戸やその周辺で作られた野菜(『※江戸東京野菜』についても『江戸蕎麦』同様、江戸の食文化の一つとして私は興味があります。
江戸東京野菜には定義があります。(JA東京中央会)現在50種
※江戸東京野菜は、江戸期から始まる東京の野菜文化を継承するとともに、種苗の大半が自給または、近隣の種苗商により確保されていた昭和中期(昭和40年頃)までのいわゆる在来種、または在来の栽培法等に由来する野菜のことです。
今回はその江戸東京野菜コンシェルジュ協会と私も所属する江戸ソバリエ協会が共同主催で年に4回、総本家更科堀井で行われる『更科堀井 四季(春)の会』に参加、蕎麦と江戸東京野菜の旬のものとの共演を堪能させて頂きました。
先ずは動画をご覧ください。写真&文章は後日加えさせて頂きます。
今回食した内容をまとめました。料理研究家 林幸子先生に毎回旬の江戸東京野菜を使った
レシピを考案頂いております。
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それでは当日の内容について簡単に報告させて頂きます。
平日18:00、更科堀井の1階奥の畳の部屋で行われました。
四季ごとに旬の江戸東京野菜と更科蕎麦の共演です。そのメニューはすべて料理評論家の林幸子先生がご考案されています。今年春の会は上記『献立』になりました。
蕎麦掻と※東京独活(うど)の辛子酢味噌和え(味噌は江戸甘味噌を使用)
※東京独活は幕末に吉祥寺で栽培が始められた、戦前・戦後を通し多くの関係者が技術開発、改良に尽力した結果北多摩一円は日本一の独活産地となりました。
湯上り(茹でたて)※川口豌豆(えんどう)と更科蕎麦サラダ(塩、オリーブオイルを使用)
※川口豌豆(えんどう)は八王子市川口地区で作られていた。旬は5月下旬~6月上旬
鮎の蓼(たで)衣揚げ
たっぷりの蓼をまとったアユを食べる機会は少ないので、添えてある蓼(たで)をかじりながら
ゆっくり頂きました。
蓼(たで)はアユと食べる時だけに使われる野菜、添えられたピリリと辛い蓼(たで)の葉も味わう、今がシーズンです。
明日葉(あしたば)生粉打太切の釜揚げ(※明日葉を更科そばに練りこんで、太打ちにしてあり、釜揚げ熱盛で、水で絞めていません。噛んで食べる蕎麦です)因みに今回の生粉打ちは更科堀井のそれより太いです。
※明日葉(あしたば)とは八丈島の料理などで私は経験していますが日本が原産といわれ古くから栽培されています。江戸時代に貝原絵益軒の『大和本草』にも紹介されています。
各自お酒は注文となりますので私は福島の名倉山(なくらやま)をぬる燗で頂きました。
東京エックス冷やししゃぶの※志村みのの早生大根卸し
東京X(豚肉)の冷シャブを※志村みのの早生大根のおろしで頂きました。鬼卸(おにおろし)
で、たっぷりおろしているので大根の食感が十分感じられます。
※志村みの早生大根とは 江戸時代に板橋区志村町の『みのきち』という人が栽培を始め早生大根だったので『みの早生大根』と呼ばれるようになったようです。旬は7月~10月
蓼(たで)切の練蓼(たで)添え
更科そばに蓼(たで)をふんだんに練り込みました。ジェノバペーストのように、オリーブオイルと塩をミキサーにかけています
蕎麦の実と愛王子(オーギョーチィ)の谷中ジンジャーシロップ
谷中ジンジャーシロップに、レモンを絞り、台湾のデザート愛玉子(オーギョーチィ)と、蕎麦実(常陸秋そば)が入ったデザートです。
※谷中生姜(ジンジャー)とは
谷中は水に恵まれ、排水も良く、しかも西日に当たらない土地で栽培されていました。谷中ショウガは、「盆ショウガ」ともいわれ、夏の盛りの食欲増進のために、江戸っ子の食卓に上りました。
今回、江戸蕎麦同様東京の伝統野菜についても学びながら食する機会を得られた事に心より感謝します。これからも世界から注目される『和食』及び江戸からの食文化について深めていき外国の方にも正しく説明できるよう学びの機会を増やしていくつもりです。
以上