『流浪の月』(東京創元社)
著者:凪良ゆう
苦しい気持ちになって、
苦しい気持ちであり続けながら、
それでも読む手をはなしたくなくて、
読むために仕事を休みたいと思い、
「帰ったら好きな人に会える」時
のような高揚感を抱くほどの、
心地のよさを味わった。
不思議な作品。
人から貰った本で、
あらすじを読む限りでは、
自分では手に取らなかったと思う。
良い縁だったと思う。
今のところ「事件」とは無縁だが、世間は生きにくい。
生きづらさを感じている点で一致する彼ら、
特に彼女の心情を聞かされることは、救いだった。
この本があれば、それだけで生きていけるような気がした。
自分に対する不安を日々抱いている。
いつか仕事に行きたくなくなるかもしれない、
そもそも生きたくなくなるかもしれない、
そして我慢できない感情、
怒りによって自分は犯罪者になるかもしれない、
と恐れている。
自分が自分をそう思っていて、
まだ何もやってないのに、
自己弁護のような言い方になるけれども、
「事件を起こした人」のことを
「悪い人」で括るのはどうかと、
思わされる作品だった。
フィルターをかければかけるほど、
その人の本当の姿は分かりにくくなるし、
本人すら分からなくなる。
たしかに「被害者」は被害にあってないのかもしれない。
それなのに、そうだと思わされるのかもしれない。
と思うとやはり、
「事件を起こした人」を
「悪い人」と断定できないんじゃないか。
優しい人かもしれない。
ただでさえ生きにくいのに、
これ以上生きにくくなりたくないので、
なるべく罪は犯したくない。
もし、自分が何かをやったなら、この本を掲げよう。
それでも、もし、
仮に自分に子どもができるようなことがあったら、
「知らない人について行ってはいけません」
と言い聞かせると思う。
そういう側の人間になるんだろう。
以下、ちょっとネタバレ。
世間的には歪と言われるような生活に、丸く収まった。
この関係は途中から予想していて、
だからこそ、そうであってくれと願いながら読んだ。
これが歪でなくなる世間になってくれ。