2歳女王ジョワドヴィーヴルが敗れた。
アラフネが引っ張った流れは半マイル通過46秒台後半の平均からやや速い流れ。先週までの馬場傾向からもう少し外が伸びやすい馬場を想像していたが、雨が降らずに土日とも乾いた状態でレースが行われたため、内の荒れた芝もそれほど走りづらい状態ではなかった。
ジョワドヴィーヴルは17番枠からのスタートで、ある程度外を回らされるのは仕方ないところ。ただ、思った以上に位置取りが後ろ過ぎた。多少力を要する馬場だったので、あれだけ後ろにいたら、パワーがなければ苦しい。しなやかなフォームで走る馬なので、荒れ馬場も合わないのだろう。3着に敗れたチューリップ賞時よりも走りは素軽かったが、その分荒れた馬場でフォームを崩して走っていた。
レース後の鞍上のコメントにあった「外に逃げていた」というのは、まともなバランスで走れなかったということだろう。姉のブエナビスタのようなパワフル感は持っていないので、こういった馬場では本来のパフォーマンスができない。裏を返せばそういった弱点があり、決して突出した存在でなかったことが立証される形となった。距離が伸びるオークスでの逆転は十分期待できるが、もう少し力強さがなければ、信頼できるとは言えない。
そのジョワドヴィーヴルを徹底的に意識したレース運びをしたことで、チューリップ賞では4着に敗れていたジェンティルドンナが巻き返した。楽に流れに乗り、直線に入ってすぐに仕掛けられても最後までしっかりと伸びるのだから大したもの。通ったコースも完璧で、文句のつけようがない勝利だった。正直シンザン記念の内容にそこまで強さを感じなかったので、今回の完勝と言える内容には脱帽である。
熱発明けで調子がよくなかったチューリップ賞で、予行演習ができたのは大きかった。ジョワドヴィーヴルとの力量比べのレース運びで終いまで脚を伸ばしたレース内容は収穫の大きなものだったし、それをうまく本番に生かした。陣営の作戦もドンピシャにハマり、まさにパーフェクトとしか言いようがない。
ただ、距離が延びるオークスは決してプラスではない。質のいい筋肉を持つパワフルな体型から、ベストパフォーマンスを期待できるのは2000mまでだろう。走りはアヴェンチュラに近く、こういったタイプは岩田騎手のようなパワーで動かすタイプの騎手との相性は抜群だ。オークスを取りこぼして秋華賞で巻き返す、テイエムオーシャンのようなイメージだ。
ヴィルシーナは長くいい脚を使える長所を生かした内田騎手の好騎乗が光った。距離延長は問題ないし、広いコースのほうが走りやすいので、オークスの条件は合うだろう。前走のクイーンカップと今回と先行策をとっているが、もう少し脚をためて速めに動く強気な競馬ができればもっとやれていい。
アイムユアーズもほぼ完璧な競馬だった。一旦先頭に立ちながら最後苦しくなったのはやはり距離適性の差だろう。マイルは守備範囲ではあるが、適距離でもない。NHKマイルカップに出てきてもやれるはずだが、今回のような競馬をするなら、1400mのほうが持ち味が生きる。父ファルブラヴに母父エルコンドルパサーなら距離延長も問題なく感じてしまうが、気性的なものもあってか距離が延びると良さが出ないのがファルブラヴ産駒の特徴。万が一にもオークスに出てくるようなら軽く扱っていい。
上位3頭と4着のサウンドオブハート以下に開いた1馬身3/4差は現時点での総合力の差ととらえていい。堅実に走れていたイチオクノホシや、混戦のフェアリーステークスの勝ち馬トーセンベニザクラなどはG1だともうワンパンチ足りない印象。
プレノタートは大外を回したらまず厳しい。追われると尻尾を振るなど気性の難しい面もあり、現状では短距離でこその馬。オメガハートランドは進路を探すのに手惑い、ストライドを伸ばした時には大勢が決していた。小柄な馬なのでこの馬も広い府中のNHKマイルカップに出てくれば楽しめそうだ。
もっとも、オークスは3歳春の早い段階でのレースなので、距離が多少長くても完成度だけでこなせてしまう場合がしばしばある。10年のアパパネや08年3着のレジネッタ、07年のローブデコルテなどはとても2400mが合うわけではなかった。展開や馬場などの条件次第でジェンティルドンナが勝ち切ってもおかしくはない。