プチトマトと秋休み | 南仏ーの生活

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9月から始まった新学期も、早くも秋休みに突入。

正確には Vacances de la toussaint。

11月1日の諸聖人の日(Toussaint)を含む2週間の休みである。

 

これから2週間はいつもよりちょっとだけ朝寝坊できる。

それに習い事も休みになるから送迎もしなくてよいので、本来なら私も少しだけウキウキしているはずだった。

 

が、今回は非常に嫌な気分でバカンスが始まった。

娘が学校にあるものを置き忘れてしまったのである。

それは。。。プチトマト

平日に忘れてきたのなら、翌朝に回収すればいいし、この時期ならおそらく翌日でも食べられるだろう。

百歩譲って普段の金曜日に忘れてしまったのだったら、3日後の月曜日の朝に回収できる。

 

しかしこれから16日間(週末含む)の休みに入る前日に、学校に置いて来ちゃダメ、絶対!!

 

 

なぜこんなことになったのだろう。。

 

子供たちが通う学校では、なぜか午前中におやつを食べて良いことになっている。

あまり甘いものばかり食べさせたくないので、毎日プチトマト(+ビスケット等)を持たせている。

 

いつもなら完食してくるのだが、その日は1個も食べられなかったらしい。

なぜならその週は「朝食週間」だったから。

 

朝食週間とは昨年から始まった試みで、朝ごはんの重要性を子供たちに理解してもらうために、学校でみんなと一緒に朝ごはんを食べましょうという企画。

1週間毎日学校で食べるクラスもあれば、娘のクラスのように最後の1日だけ食べるクラスもある。

 

朝ごはんとおやつは別物だろうと思い、その日もいつも通りおやつを用意した。

しかもバカンス前だからと奮発して、赤や黄色のプチトマトをいつもより多めに詰めて持たせた。

これが悲劇の始まり。

 

娘は食の好みが変わっていて、一般的に子供が好きであろう食べ物をあまり好まない。

学校の朝ごはんも、何だかんだとケチをつけてあまり食べなかったらしい。

 

当然お腹が空くので担任の先生に、おやつのプチトマトを食べて良いかと尋ねたところ、答えは「Non」。

そりゃそうだ。

学校側は栄養バランスを考えて朝ごはんを用意してくれてたのに(食べ物を用意するのは私達保護者だけど)、それをロクに食べもしないで他の物を食べたいと言われたら、私だって断る。

 

しかたないのでおやつの入った箱をカバンに戻した。。。らしい。←怪しい

 

さて、放課後になり、娘はそのまま習い事へ向かうのだが、その直前に「今日、(朝の)おやつ食べてない」と言われた。

 

「じゃあ、朝のおやつを習い事に持って行く?」と聞くと、娘は「うん」と答えたのだが、少し考えてから「やっぱり要らない」と言った。

ここが運命の分かれ道

 

娘が習い事に行っている間、学校のカバンからおやつの箱と水筒を出しておいてあげようと、カバンを開けた。

いつもならこれは子供自身にさせるのだが、この日は休み前で私も気分が良かったし、早く水筒やおやつの箱を洗ってしまいたかった。

 

水筒はすぐに見つかったが、おやつの箱が見当たらない。

カバンの中のノートやら教科書やらポケモンカードやらを引っかき出しても、カバンをひっくり返しても出てこない。

え、まさか学校に置いてきた?

 

ウソでしょ、明日から16日間の休みが始まると言うのに!!

 

急いで学校に電話を入れると、昨年の娘の担任の先生が出た。

パニクっている私はアワアワしながら、娘がおやつの箱を学校に置いてきてしまったらしいこと、中にはプチトマトが入っていること、休み明けには確実に腐っているだろうと説明したのだが、先生は「で、どうしてほしいの?」、と鈍い反応。

 

どうもこうも、教室行って見て来てくれよ。見つかったらすぐに取りに行くから。

 

「でももう掃除の人が入っちゃったし。。」とブツブツ言ってたけれど、とりあえずは見に行ってくれた。

が、戻ってきた彼女は「なかったわよ」と言う。

 

えー、ちゃんと見た?机の中も見た?

面倒くさいのは重々承知だし、本当に申し訳ないけど、休み明けに異臭放ってたり、汁が漏れ出すリスクを考えたら、もう少し真剣に探してくれてもいいんじゃない?

 

対応に納得はできなかったが、こちら(特にうちの娘)の落ち度なので、強くも出られず電話を切った。

 

学校は放課後から18時半まで、一部の教室がGarderie と呼ばれる託児所になり、仕事の都合等で定時に迎えに来られない保護者のために児童を預かってくれている。

 

急いで街の反対側にある娘の習い事先へ向かい、18時に習い事が終わるや否や、娘を連れて、急いで学校へ戻る。

Garderie が終わる18時半前になんとか滑り込みたい。

 

学校の門は放課後厳重に施錠される。Garderie に子供を預けている保護者は、インターホン経由で来場を告げ、中から門を開錠してもらう。

うちの子はGarderie に登録していないので、私が門の中に入ることは難しそうだ。

でも、インターホン越しに事情を説明したら、もしかしたら娘だけでも中に入って、おやつの箱を探させてくれるかもしれない。

 

ただ、その前の週にフランス北部の高校で起こったテロ事件により、この週からフランス中の学校の警備が更に厳重になっている。

事情が何であれ、たとえその学校の児童であれ、中に入れてもらえない可能性はかなり高い。

でも何もしないで家でモンモンとするのは嫌だ。

 

何とか18時20分頃に学校に到着し、小雨が降る中、門の横のインターホンを押した。

 

が、誰も出ない。

 

もう一度押したが、やはり無反応。

躍起になって何度も推したが、結果は同じ。

 

学校に電話を入れてみたが、留守電に切り替わる。

諦めずに数回かけてみたがやはり同じ。

 

駐車場を回り込むと、垣根のすき間からいつもGarderie で使用されている教室が見えた。

が、明かりが消えている!!

 

え、もしかしてもうみんなお迎えに来たので、Garderie も閉まっちゃった???

もう学校に入れないの?!

 

校舎を見張っていた娘によると、人影が見えたとのことだが、鬼電にもインターホン攻撃にも反応しないところをみると、清掃の人だろう。

 

詰んだ。。。

 

 

あああああああ!!

プチトマトォォォ!!!

 

休み明けの痛々しい姿を想像するだけで、気分が落ち込む。

なのに娘本人はケロッとしているし、夫も私がどうしてここまで落ち込むのか理解できないようだ。

 

確かにたかがトマトよ、しかもプチさ。

でもさ、今月お金使いすぎちゃったから買おうかどうか迷ったんだけど、それでも買ったんだよ。

プチトマトたちだって、はるばるスペインからやって来たのに、食べられないで腐らせられるなんて、なんて仕打ちよ。

 

娘には、休み明けに腐ったトマトを自分で始末するように言ってあるけど、本当にちゃんとやるのかも怪しい。

不注意で食べ物を無駄にすることがこんなにムナクソ悪いとは、正直自分でも驚いたが、今、この瞬間もプチトマトが腐り続けていると思うと、やりきれない。

 

とは言え、休み明けにプチトマトが腐ってなくても、それはそれで怖い。