起き上がったらもう14時近かった。

目は覚めてもどうしても起き上がれない。


お腹がどくどくする。

食べる気がしない。

おかしいな。

もう怒りは解けたはずなのに。


やっぱりこの14年のこと、

忘れるのは難しすぎる。


記憶をなくしたい。


昨夜、

寒い寒い夜、ハガキを受け取った。

涙がでた。

義妹からの温かい文章。

どうして私は、こんな場所にいるのか?

母からも電話があった。

あいかわらず、だから平気だけど、やっぱり動悸がする。



ストックホルム症候群、

災難症候群、

いろいろ当てはまるけど。


人生の目標も夢も、途中で突然、奪われた。

誰にも会えず、話もできず、ひたすら、嘘ばかりついてきた、

この苦しみ。

逃げ出すのも、地獄、だし、続けるのも地獄だし、

どちらも本当に自分らしくない、人生。


お風呂に入ったら痛みが少しとれて、

落ち着いた。

過去なんてどこにもない、どこにもない、

とりあえず、来週はやるべきことをやろう。


ねえ、知ってるよね。

人間の血液にFe鉄、が欠かせないこと。


鉄ってね、太陽系で合成されたものじゃないんだよ。


どこかの星が寿命を終えて、

爆発した、そういう現象があって、はじめてできる、元素がないと、

地球も、人間も生まれなかった。


そう、だから、

人生の成功とか、失敗とか、勝ちとか、負けとか、

夢とか、愛とか、恋とか、

歴史とか、時代とか、、

生きる意味とか、

そんなもの全部幻想だよ。


全部人間が作り出した幻想。


だから、私、

これから生きていくために

記憶を塗り替えようかと思う。

この15年の記憶を塗り替える。


この作業をどう呼べばいいのだろう。

もうずっと考え続けている。

怒りや憎しみは消えた。

Sの人生を、思うと、幼かったSを思うと、とてつもなく、大きな、悲しみ、人間の悲しみが心いっぱいに広がってやり切れない思い。


こういうことって本当にあるんだと。


幼いS、

生き延びるために、自己愛を肥大化させたS。

知能が高かったこと。


極貧だった大学時代、ふとしたことではじめたことで、大金を得たこと。


80年代のバブル経済の狂乱に乗り、億単位のお金を得たこと。


そこに私が現れたこと。


私が、Sの会社に就職した、特別な理由。


何もかも、

Sが生まれた時から、始まっていたのか?

私が生まれた時から、始まっていたのか?


運命、なんていう言葉に、逃げるしかないのか?


運命、といってあきらめる以外、ないの?


運命なんて、言葉、人間が勝手に作りだしたもの。


いや、違う、運命という言葉が、人間には必要だった、

だから、作った。


でも私、

本当に、

人生の目標は、

心穏やかに過ごすこと、だったし、

実現のために努力してたし、

充実した人生を送っていた。

ほんとうに。


なぜかって考えること自体が間違っている。

妹の、死と同じ。


彼の、両親が悪かったわけではない。

彼が悪かったのでもない。

私が悪かったのでもない。


良い事、悪いこと、意味のあること、ないこと、人生の成功、失敗。

そんなもの宇宙には存在しない。


私が幼いころから宇宙に魅かれたのも、

こうやって自分の人生を納得させるためだったのか?


そう、何もかも、ジグゾーパズルみたいに、解いていこう。