少し前になりますが、あやな君卒業おめでとうございます!配信で見守らせてもらいましたが、
あやな君作詞の歌あたりから怪しく、あいさつで思わずもらい泣きしてしまいました
特に今回あやな君一人ということもあり、咲君からあやな君に対する愛も大きくて。
寂しいという気持ちは、ファンも去る側も見送る側も同じですね。
そんなしんみりモードからの咲君「どっせい」間違い事件(笑)「間違えたぁ」と
完全に素になって、恥ずかしいあまりに夢さんでごまかす咲君が可愛かったw
そんなこんなで極簡単に公演の感想を。
まずはお芝居『夢介千両みやげ』「桃太郎侍」でおなじみ山手樹一郎氏原作の今作。
人情モノらしく、笑い溢れる江戸物語。コロナで沈みがちな世の中に笑顔を届けてくれます。
トップ就任から2作が本番とよく言われたものでした。お披露目は言いかたあれですが
ある意味よほどのことがない限りお客さんは入ってくれる。なので、2作目がどう転ぶかで
それ以降の組の勢いも変わってくる。もちろん何作目であろうとどの公演も大切ですが、
2作目に何を持ってくるか、プロデューサーと演出家の腕の見せ所でもあります。
といいつつ、やはり昨今のコロナ禍とチケット規制で、どの組どの公演も
めっちゃ取れにくいわけでもなく、全然売れなてない(団体の客入りによって変わりますが)
わけでもなく、ある意味平均化されているのかなって感じは受けます。
それでもやはり2作目が大事なことには変わりがなく、それにトップや2番手にこんな役
(さほどカッコよくはない)をやらせるかぁと。ある意味チャレンジだったと思います。
そしてそのチャレンジは上手く嵌っていたかと咲君の少しヌボっとした(いい意味で)
持ち味を生かしつつ、包容力という魅力を存分に出していたのではないでしょうか?
脚本について。石田先生といえばスミコギリギリを攻めているんかいと
思うほどの(時には超える)あまり品の良いとは言えない作風に、妙に昭和、
そして説明台詞の多さ(話に直接関係ない登場人物を狂言回しに使って説明させたり、
「○○ってつまり△△ってこと?」と不必要にいれまくる)がなんともなところなのですが。
今回はほぼほぼ石田先生の(個人的に)悪いところが感じられず、
多少の下品さはあっても時代や作品に合うものだから不快に思うことなく、
狂言回しを一応三太が担っているものの流れを切るようなこともなく。
「石田先生やればできるじゃん!」と謎の上から目線で(笑)感心してしまいました。
話の筋としては、ポイッと千両(だいたい現在の価格で1億円くらい)渡して、
それを元手に増やしてこいだの、何か江戸で勉学に励めというわけでもなく、
ただただ道楽修行で使い切ってこいと言えるほどの豪農の息子が、
江戸滞在中に色んな出来事に巻き込まれながら周りを幸せにしていくというもの。
初見時はそれこそ、なんでも金を渡して解決で(しかも親の金で)それって
話としていいのか?とも思ったのですが、そもそも親が千両渡したことが道楽みたいなもので。
そのお金をどのように使うのか、ただただどこぞの放蕩息子のように遊んで暮らすのか(笑)
はたまた人の為「生きた金」として使うのか。金の本当の“使い方”を分かってもらうための
“道楽修行”だったのかなぁと。(そして夢さんは見事本質を分かっていた)
ある者は足を洗ってまっとうな道に入り、ある者は改心して後継としての自覚を持ち、
ある者は命を救われ好いた者と結ばれ、ある者は傾いていた家を救われた。
ただただ夢さんが事件に巻き込まれてはお金を渡すだけの繰り返しにも見えるが、
各々がお金をくれたからではなく夢さんの大きさに触れて軒並み惚れて(笑)
バラバラに思えた人間関係が“人の輪”として繋がっていく様は観てて気持ちがいい。
本人はそのつもりは勿論ないでしょうが、お金をただ動かすだけでは得られない
“絆”が得られたのは道楽修行の結果でしょうね。(何より江戸所払されたとはいえ、
某お奉行と知己を得たのは大きい、と思うのはまだまだ欲深な凡人です)
今回よかったなと思ったのが、「これも道楽修行だぁ~」と何事もお金を渡して
解決していた夢さんが、「これだけは譲れねぇ」と一つ目御前の卑怯な振る舞いには
毅然とした態度で脅しに立ち向かったこと。夢さんにとっての「生きた金とは何か」が
明確にわかるシーンですね!何より普段は牛みたいな(笑)ボーっとした
お人よしがキリっとかっこよく立ち回りをするギャップが良いです。
誰一人悪い人がいない(一つ目御前一行も悪者ではありますが、どちらか言うと
愛嬌のある悪役タイプですからね)大笑いというよりほんわか優しい物語。
後味もオチもよく、幸せのおすそ分けに預かりたい。そんな心が温かくなるお話でした。
続く