まって今更感半端ないですが、、、備忘録的にごく簡単に
②の続き次はショーのお話。
伝統と変化という話をお芝居でもしましたが、これほど問われるにふさわしい作品はないでしょう。
悲劇作家上田先生の初のショー作品。タイトルといい説明といい、どこからどう突っ込んで
よいやらで多くの人が期待と不安でグルグルグチャグチャ状態だったでしょう。
そして観劇後も賛否分かれた今作品。否定的な意見もまぁわからなくもない。
(その意見に賛成するかは別として)レビュー系が好みの方はアップテンポ系な曲が続く
(そして展開も早い)今作品はせわしないですし(『キラル』もどちらかと言えば同系統)
ストーリーのあるという事は登場人物皆全場通して同じキャラという事(当然だけど)
ショーで組子のいろんな面が観れるのを楽しみにされてた方にとっては肩透かしに思えるかも。
(多少の変化はあれど、髪型とか衣装の感じとかほとんど同じですからね)
他の演出家にも見られることがありますが(また舞台だけでなく映画やドラマとかでも)
深読みさせられる、行間を読んでしまう、もっと言えば作品を通して演出家の
(作品の内容とは関係ない)主義主張が見え隠れしてしまう。どちらかというと
上田先生の作品はそう言うのが多いですが、そういうのが好きという方もいれば
鼻に付くと思ってしまう人もいるでしょう。私自身は今回は気にならなかったですが、
作品によっては「うーん」と思ってしまうこともあるので(K子作品や〇ーイシ作品etc)
ただ、今回は深読みさせといてそこまで考えなくてもいいというか、中詰めの
「悪い事がしたい、いい子でいたい」という相反するようで不変的なテーマに
終始するのかなという気がします。全てはグレーゾーン、バランス感覚が大事ということで
批判的な意見の中には「あまりに型破りで伝統を損なっている」やら、ごく一部ですが
「悪いとされる行為を美化している&推奨している」というのはそれは見当違いというもの。
まず後の、まぁ所謂“タバコ”をピックアップしていることですが、舞台や映像に
“タバコ”はマストアイテム。時代背景とかもありますが、むしろ前前作の
『グランドホテル』の方がそんじょそこらで煙草を吸っていたぐらいでしたからね。
というか、理屈はもっと簡単で普段吸わない人やむしろ嫌煙家(はい私です)でも
非日常の空間(舞台や映像の中)でカッコいい人がかっこよく吸う姿はキュンとなるもの
(それが日常空間だとそうならないんですけどね、、、煙さが増してしまうので)
所謂“惡”というよりも“ワルかっこいい”奴らを演出したに過ぎない。
(まぁ煙草=悪なのかというのは置いといて。飲酒もダメらしいですからね~
そこはグッディちゃん許してって思ってしまうわw絶対ピースフルプラネットには住めない)
型破りと言う点ですが何事も初めてというのはありますし、伝統は守る事と新しい事の
積み重ねだと思っています。歌舞伎だって題材にワンピースする時代ですからね!
そもそも“型破り”ではあるけれど、全く新しい事とは思わない。と言うのも、
昔のショー作品の方がもっと型破りだったから。むしろ最近はある程度の型が
決まっているので(それはそれで「宝塚のショーを観た!」という気になれていいのですが)
こうやって物議を醸しだすほどの一手を打ったことに大変意義を感じております。
さらにいえば、実はそれほど型破っていないというか、ちゃんとした“様式”には
則っているんですよね。導入があり、プロローグがあり、中休め的なシーンがあり、
前半の見せ場→中詰め→後半見せ場→ロケット→群舞→デュエダン→
そしてパレードに。(エトワールがなかったのは少し驚きましたけれど)
ずっと芝居仕立てという点ですが、フィナーレ以降もずっと話があるのは
私の知る限りはありませんが(大羽根を背負ってまでやったのは流石に
「新しい」と感じました)それまでずっと話が続いているのだったらこれまでも例が。
有名作でいうと『ノバボサ』今でこそ再演を重ねているので全く違和感なく観ていますが、
全編ほぼ裸足、八百屋舞台、ピエロは最初以外ずっとピエロメイク、謎の大型美女と
ちっちゃいおっちゃんs、女装潜入シーン、ラストはメイン以外は全員女装に(女装ばっかり)
よくよく思ったら全員トランス状態で締め(あの振り付け好きですけどねw)
今は変わりましたが、当時は人種差別に抵触するような表現もあったりで。
47年前の作品ですが、当時にしても今見てもこちらもかなりの異作でしょうね。
とまぁ色々言ってきましたが、理屈はさておき結局は自分が楽しめたのか
楽しめなかったかに終始しますし、わたしは、、、はい、めちゃ楽しめました(笑)
元々アップテンポなショーが好きでしたし、中詰めは暫くずっと頭に残るキャッチーな曲。
そこのセットはウルトラクイズみたいやなと思いつつもwシンプルに今回のテーマを
よく表現されていると思います。(白と黒で分かれて踊るのもよくある構図ながら良かったです)
そしてそれ以上に名シーンでしたロケット。あれほど激しいのは久しぶりに観ました。
またセンターで踊るちゃぴちゃんが流石といいますか、カッコよかったですね!
振り付けがちょっとアメリカのポップ(ビヨンセとか)みたいで。“生きている”という
爆発するエネルギーにこちらの魂も揺さぶられました。
パレードの羽根扇には小憎らしいアソビもあり。最初から最後まで楽しませてもらいました!
上田先生といえばずっと悲劇作家として演出されて、今回が初のショーを手掛け。
方向性を180度転換させ、演出家としての新たな可能性を示してくれました。
次上田先生が悲劇以外のお芝居を手掛けるのか、はたまたショー作品をやるのか。
流石に今回みたいな変化球を2回も続けて投じるのはできませんから、
もしショー作品をするなら次はどんな手を見せてくれるのか。
次回作品も楽しみですね(といいつつ、次回は再演ですけどね、、、
演出面はそのままでやるのか、それともアレンジしてくるか。気になるところです)
最後に、、、まゆぽん宇宙人とやす頭取夫人がすこぶるツボでした(笑)