花組大劇『ME AND MY GIRL』感想② | ★F**kin' Perfect★

★F**kin' Perfect★

徒然なるままに、つらつらと。。。

文句なしに何も考えずに楽しめる作品。ですが深く考えると割と「これってどういう意味なんだろう?」と。

当時の時代背景や英国事情が色濃く反映されていて、日本人にはわかり辛い部分が多々ありますよね。

そんな自分が疑問に思った事をシーンごとに解説していきたいと思います!


・「♪自分のことだけ考えて」でジャッキーが仲買人にリフトされますが、そもそも何故仲買人?

当時の貴族は働かないのがステータス。(だからジェラルドの「働けって言うのかい?家名に傷付けると

というセリフになるんですね。)その代り不動産や株で財産のやりくりを(『アーネスト』でも同じような

話題になりましたね)それを管理するのが邸の弁護士であり株の仲買人であり。貴族邸に出入りする程の

仲買人は自分も儲けて金持ちだったりしますから「街で名高き金持ち」ということなんでしょうね。


・「ヘアフォード卿はロンドンの下町っ子。書斎で魚のフライとポテトチップスを・・・」

要するに“フィッシュ&チップス”のことですが、普通にそう書けばいいのにと汗(初演当時はフィッシュ&

チップスという言葉がメジャーじゃなかったのかな?)アメリカのハンバーガーぐらいイギリスを代表する

ファストフードで露店とかで丸めた新聞紙に入れられて売ってたりしますね(最近はこの売り方はむしろ

観光客向けだったりしますが)なので、サリーが新聞を見つけた時も「チップスが置けるようになってるよ」と。


ちなみに今回も公演にちなんで売っていましたが・・・
IMG_20160510_191112126.jpg
つい買ってしまいました(笑)公演ランチとかは食べないのに、こういうのは何か食べたくなってしまう得意げ


・英国王室

霧矢さんが『ミーマイ』に出てきた“国王陛下”に興味を持ったので『エド8』がやりたかったということを

おっしゃっていましたが、マリアがそれはもうけちょんけちょんに非難していますね(笑)

「国王陛下が植民地の女のための退位されるのはご自由です」“植民地の女”というのは勿論アメリカ人の

ウォリス(まりも姐さんの役)ですが、独立後150年以上経ってもそれより遥か古くから存在する

ヘアフォード家(700年でしたっけ?)にとっては今だにアメリカはイギリスの植民地扱いなんでしょう。

2幕「中流階級の外国人です」も英国王室(に限ったことではないですが)が他所の王室から婚姻を

繰り返しているので、純粋な英国人の貴族にとっては英国王室すらも外国人扱いなんですねガーン


ちなみに英国でのミーマイ初演はエドワード8世が退位された翌年。そんな直近に凝んな台詞を

言わせるなんて何ともチャレンジャーというか、逆に英国王室がおおらかといいますか。


・「♪一度ハートを失くしたら」

ビルを思い切なく歌い上げるサリー。「ハートを失ったら」て失恋ソングのように思えますが、そもそも

あのシーンで失恋ソングっておかしいですよね。で原曲は「lose one's heart」つまり「心を奪われる」

「恋に落ちる」、、、全然意味ちゃうやん叫びしかも「あなた」とありますし原文でもyouでしたが、どうやら

一般論としてのyouであり、結局はサリー自身のことなんですよね。つまり心から愛しているビルが

どんどん自分とは釣り合わない存在になり離れなければならない。そうと言い聞かせつつも彼への恋心を

切なく歌い上げるナンバー。この歌(サリーの本心)を聞いたからこそ、手のひらを返すようにジョン卿が

彼らの恋を応援するようになったし、感化されるようにマリアへの恋心を隠さなくなったんでしょうね。


・「♪ランベス・ウォーク」

イーストエンドとランベス、ウェストエンドとメイフェア。共に労働者階級と上流階級を示唆しているものですが、

そもそもランベスとウェストエンドはどれほど離れている?実はバッキンガム宮殿、テムズ川を挟んで

おおよそ3~4キロほどしか離れていないのだとか叫びそれしか離れていないのにそんなにもとも思いますが、

距離的な問題ではなく心情的なものでしょうが。近い感覚の話をすると、ランベスウォークは芦屋の

高級住宅街でタイガースファンが「♪六甲おろし」を歌う感じでしょうか(笑)(多分違うw)


このメイフェアというのは昔から貴族の邸宅やブティックが立ち並ぶ場所で『マイ・フェア・レディ』も

“メイフェア”が訛って“マイフェア”になったそうですが、そもそも舞台は“メイフェア”なのかなと。

当時の貴族は田舎にもカントリーハウスを持っていましたが、物語始めも「週末のロンドンはつまらない」

「太陽田舎で浴びる時」と歌ってますし、邸宅内でテニスができるほどの広さだと考えるとメイフェアでなく

ロンドン郊外田舎なのかなと。(解説ではメイフェアと書いてますが、、、三木先生は和訳にしろどうにも

直線的に物事を捉えすぎている気が汗)もっと言えば物語がずっと同じ邸宅とは限らないですけどね。



長くなったので続きで右矢印