「 時代の速度 」
あなたを応援する詩
2019年2月16日
詩 : 末松 努
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(Photo by 写真AC.)
時代の流れは速くなる一方で
人間はまだ人間のままいたいと
願っているのではないか
日向ぼっこの縁側で
お茶を飲む光景を思い浮かべるも
都心のカフェ
雑然とした音響に
ノートパソコンを広げ
スマートフォン片手に
無差別に入り込む情報を
処理していく人間の
ちいさなちいさな願望は
どこへ
目標の数字を超え
得られる達成感に
なぜ空虚感が付いてくるのか
疑問に思う午後
エクセルのデータには
太陽の光のやわらかさと
人間のやさしさが見えない
その違いもあやふやに
実りの種類は
情報化社会に急増した
しかし
笑顔と余裕は
情報化社会に急減した
(この感覚は実証が必要か)
利他の心を食い尽くすのは人間
自利の心で満腹にするのも人間
それでも
利他に生き
スマートな視線と目尻に
スマートな背筋
スマートな思考
体格までスマートな人間も
そもそも
幸せを
同じくして得ていくか
違いに得ていくか
時代の流れは
それだけを変えていない気がするのだ
思いやり慈しむことが
分け与えながらいただくより
もらえるだけもらうという
肥満した欲望に
抑え込まれている
時代の速度を上げる人間と
時代の速度を戻す人間との戦いは
もともとあった人間らしさの喪失を
いかにして埋めるかという命題へ
誤魔化している気がしてならない
いま
人間は
どこへ向かっているのか
じつは
掴んでいないのではないか
人のためになることが幸せを生み
豊かになることを放棄してまで
世界は
自利、自利、と
時代の速度とやらを
また上げようとしている
