昭和初期の中流家庭の生活を描いたレトロ時代ドラマ。
山形県から女中として東京のある一家に住み込むことになった若い女性が、雇い主である奥様の秘かな情事を知ってしまい、思い悩むことに。
ストーリー自体は、そんなに大したものではなく、ただかつての時代がどんなものであったのかを、如実に表した内容に思われる。現代との対比では、やや余計な描写が多過ぎた感じがする。
ただ、すばらしかったのは奥様役の松たか子の演技である。着物姿もばっちり。当時の上品なマダムの喋りぷりなんかも、きれいに再現していたような感じだ。その点からすると、同時代を舞台とした作品「細雪」を思い起こす。「細雪」は大阪が舞台だったから、さしずめこの映画は東京版「細雪」といえる。
また、マダムが若い男性と秘かな情事に走るという点では、「アンナ・カレーニナ」を思い起こさせる。
ドラマの中には、巧みに伏線が混じっていたのが印象的だ。子供の絵本に「タイタニック」。真珠湾攻撃の日に「風と共に去りぬ」を読書(当時日本で出版されていたのかな?)。
つまり、日本が戦争をしていた時代なのに、やけに庶民はのんびりで危機意識を感じていなかったということだ。あの時代でさえ、お受験なんてものがあったのだ。だから、今となんら変わりがないということ。
つまり、いつだって当たり前の平和は壊される状況にあるということなのだろうか。
...