会社に4歳4カ月年上の素敵な女性がいた。23歳の私はなんとかデートに誘えないか必死だった。彼女とはほぼ2カ月前、2対2で遊びに行ったことはあるが、どうしても1対1でデートがしたかった。
「相撲を一度見てみたい。」ある時、その女性がそうつぶやいた。
若貴ブーム真っ最中だったこの頃、連日満員御礼が当たり前だった。
デートしたい一心で、チケットを取ることにした。発売日は土曜日、前日仕事が終わってから群馬県大泉から両国に向かった。国技館には夜8時くらいに到着した。その時点で既に長い行列になっており、前後に並んでいる人の話では過去の経験では、ぎりぎり取れるかどうかという位置だということだった。
翌朝、順番が来たときには、椅子C席という一番遠い席しか残っていなかったが2枚確保することができた。
「よければ誘ってください」と言って、2枚ともその女性にプレゼントした。
数日後、特急券のチケットとともに、1枚チケットが戻ってきた。
相撲観戦が初めてだったのでとにかく早めに両国国技館に向かった。1時過ぎには国技館に到着した。座席を確認すると両国国技館の2階の一番後ろの席だった。
まだ地味なまわししか出てこない時間帯だったため、客はまばらだった。1階席に一緒に移動してマス席の前にある砂かぶり席というところで三段目、幕下の相撲をみた。元高見山が正面の審判をしていてそのすぐ後ろで見ていた。
十両が始まり、客席に人が増えてきたので。所定の席に戻って観戦した。特等席で見た後だったので、国技館の最上部はとてつもなく遠かった。
遠くからみた、結びの何番か前の貴花田対武蔵丸の一番がとても印象に残っている。
彼女とのデートはとても楽しかった。が、このデートが最初で最後となった。
数日後、彼女から結婚を前提にお付き合いしている人がいると知らされたのである。
当時の番付
横綱 不在
大関 霧島、小錦、曙
関脇 安芸ノ島、武蔵丸、水戸泉
小結 三杉里、貴花田、旭道山
(主な)前頭 琴錦、豊の海、貴闘力、琴ノ若、貴ノ浪、舞の海、隆三杉、寺尾、若花田、琴ケ梅、栃の若
貴花田○送り出し●武蔵丸
貴花田2度目の優勝決定の瞬間に立ち会っていた。
