2014年夏、いまから4年前に、東京のおしゃれボーイ向け雑誌「#POPEYE」(いまだに見ながらじゃないとスペルかけない)に紹介されて以来、ポートランドという町は、一気に有名になった。マーケティング用語でいうところの「イノベーター」(先駆者、流行を作る人)向けから「アーリーマジョリティ」(流行感度高めの人たち)向けの町に移行したという感じ。

 

感度の高い人たちはすでに行っていて、皆が口を揃えて「とってもいい町だよ」という。

 

 

この4年間で、ポートランドという町は日々更新され、成長を続けている。

とはいえ、これからもっと時間がたったところで、ハワイやグアムのように全員が「良い!」という場所ではなく、きっと特定の人たちの中で、情報が交換され、そして消化されていく場所でもあるのがポートランドであろうとも感じる。

 

 

案内してくれた日本人2人が口を揃えて「役人を案内したことがあるが、この町のどこが魅力的なのか理解しないまま帰って行く。」と教えてくれた。派手な高層ビルもなければ、展望台もない。タイムズスクエアのような「ここにいけばポートランドを味わえます!」という場所もない。これがポートランド名物お好み焼き!みたいなご当地グルメもなく、誰もが観光地に求めるものがこの町には一切ないというところ、役人がつまらない顔をして帰っていくのも理解できないこともない。

 

 

あえてあげるとすれば、あのホテルのロビーか、あのカフェか、あの本屋かということになる。古き「観光」のあり方しか知らない旅人にとって、ポートランドとは魅力のないつまらない場所に見えてしまうようだ。

 

 

実際のところ、地元の美味しいカフェ、カフェにはコーヒーも紅茶も日本茶専門もある。それにクラフトビール、ワイン、ウイスキー。気になるお店を巡ろうと計画するだけで、数日では足りないことに気づかされる。実際巡ればお腹はタプタプ。ビールのチェイサーにコーヒーを入れて、昼間からへべれけになるのを防いでまわることになる。

 

 

そういえば、2018年8月現在で「なにそれ!」となったコーヒーの新トレンドは「#ナイトロコーヒー」!NITRO=液体窒素(だよね?)を、ビールドラム缶からアイスコーヒーに注入し、オンタップ(コーヒーサーバー)で注いでつくるもの。エスプレッソのように濃いアイスコーヒーに液体窒素を入れて、ビールの泡のようなフワッフワの新感覚を味わうことができる。フワッフワのアイスコーヒーをサーバーでタップするというスタイルだ。ポートランドでも人気トップのスタンプタウンやコアバコーヒーでもナイトロコーヒーは当然のようにメニューにあった。

 

今後、コーヒー大国・日本にも上陸するのか、してるのか。はやるのか、どうなのか。

味自体は、個人的には普通にアイスコーヒーの方がよかったな・・・なんか健康にいいとかあるのかな・・

 

最初に味わったPortland Roasting Ice Brewの動画がこちら。

 

 

さらに、ポートランドに眠る恐るべきグルメの文化。「アメリカでこんなに美味しい飯が食えるんでしたっけ?!」と驚愕のレストラン巡り体験が、旅人をダイエットからさらに遠ざける。いきたいレストランリストはあげはじめたら最後。

 

挙句の果てには、世界最高密度の「フードカート(屋台)」文化が我々、観光客の前にずらりと並んでくれている。その数いまや700軒以上とも言われ、世界各国のフードカートがポートランドのダウンタウンを中心に、競い合うように並んでいる。その様は、ニューヨークのウォール街なんか足元にも及ばないという具合である。ポートランドにいけば、世界中の食を旅することができるというわけでもあるのだ。

 

ちなみにエアビーにあったフードカートツアー。これ5つ星のガイドツアーでした!

700件のうち7〜8軒を、ガイドのおすすめと、あなたの好みと、お腹の空き具合に合わせて紹介してくれるもの。2時間でグルメ世界一周旅を効率的に楽しめて、めっちゃおすすめ(英会話ある程度必要になりますが)です!

 

 

 

現地の強面の人にも、いざ勇気を出して話してみれば、やれ日本の何が好きだ、と時折日本語を交えて話してくれることもあった。そう、この町は、全米でも屈指の親日タウンでもあるそうなのだ。

 

あれだこれだ、日本食だ、茶道だなんだ、もちろんマンガも含めて、どうやらこの町は日本という国を、その現実以上に理想を見てくれていて、日本をとってもリスペクトしてくれている。何かと日本の得意分野が、ポートランダーの心をくすぐってくれているっぽいのである。日本が好きだ、日本に行きたい、と彼らの知る日本の全てを知る限り教えてくれる。これに対して、いざ勇気を持って話しかけ、いざ日本からきたと話せるのは、日本人だけ。このチャンスを大いに活用してポートランダーの一部となっていくのがいいと思う。

 

 

こうしているうちに「暮らすように旅をする」日々があっという間にスケジュールを埋めていくのである。この「暮らすように旅をしよう」というエアビーのキャッチフレーズに象徴されるように、この旅の仕方は、役人が考えるそれとはおそらく大いに違うのだろうと思う。今風の旅の仕方とも言えるのか、簡単にいえば、役人らが考える昔の旅は「どこに行くか(Desitination Oriented)」、今求められている旅は「なにをするか(Experience Oriented」、#モノよりコト 消費 みたいな言葉に言い換えられる。

 

観光立国とかいっといて、役人感覚がこんなもので大丈夫なのかと少し心配になるけれど、日本のインバウンド観光のさらなる取り込みについては、ポートランドの観光のあり方はまさに先進的で、イノベーティブなのだと思う。その観点からも今回の旅はなかなかに見所のある旅になった。

 

『モノ消費からコト消費へ』は本当?訪日外国人の目的別消費額の比較から見るインバウンド効果

 

つづく・・・