「「考える力」を身につける本」抜粋2 | 出口汪ブログ「一日生きることは、一日進歩することでありたい。」by Ameba

「「考える力」を身につける本」抜粋2

「「考える力」を身につける本」(フォレスト新書)の一部をまた紹介します。


「パラダイム」の転換
パラダイムというのはその時代を支える根本的な考え方である。
そして、時代の節目節目にはパラダイムの転換が行われる。
天動説から地動説へ、万有引力から相対性理論へと、そのたびに過去の常識はすべて新しい常識へと塗り替えられる。
日本でも幕末から明治維新、軍国主義から戦後の民主主義へと、パラダイムの転換が何度も行われた。
そして、今。
日本において、まさにもっとも大きなパラダイムの転換が行われようとしている。
その要因は、大きく2つある。

「模倣教育」からの変換
戦後、日本は欧米の技術をひたすら模倣し、安価で高性能な製品を世界中で売りさばいてきた。そのため、日本の教育はいかに模倣・模写するかに重点を置き、そのために訓練として算数・数学と暗記科目が使われてきたのだ。
そして、知的エリートとなるためには何よりも翻訳力が重視された。だから、今でも文系・理系を問わず英語力が入試の決め手となるのである。
当時の知的エリートが欧米の新しい思想・技術を翻訳し、それをすべての国民が日本語で理解するシステムが、国家をあげて完成されてきたのである。
今の、政治家、官僚などは多くは、そうした模倣教育での勝利者たちなのである。彼らは、何かことが起これば、先例や欧米での成功例を持ち出し、それに従おうとする。ところが、今、目の前に起こっている事態は誰もが経験したことのないことであり、無理矢理彼らが学習した先例に当てはめようとすればことごとく失敗する。

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一般企業においても同様で、自分で物を考える人間は、変わり者として排除される。欧米の優秀な技術を模倣するためには、不必要な人材だったのだ。
そして、パラダイムの転換が起こった。
今や、中国やインド、韓国や台湾などが、かつて日本が成功した模倣のシステムを取り入れ、大量に安価で優秀な製品を生産し始めた。彼らは豊富な資源と安価な労働力を持っている。
私たちは世界の最先端で、どこの企業よりも新しい技術を開発していかなければならないのだ。そこで必要とされる能力は模倣・模写ではなく、新しい物を生み出す力、すなわち「創造力」なのである。
ところが、私たちが強いられてきた教育は、旧態依然の模倣教育だったのだ。

「情報社会」への移行
もう一つは、ネットを中心とした情報社会への移行である。私たちは膨大な情報の中で、何か真実なる情報なのか、自分にとって必要な情報は何かと、一人一人がそれを判断する必要に迫られている。しかもその上で、正しい判断をしなければならない。
誰もが同じ情報を得て、誰もが決められたレールの上でビジネスをしていく時代は終わったのだ。それに気づいた人だけが次の時代の勝利者になれる。
そのために自分の頭脳を武装しなければならない。
目の前にパソコンが一台あれば、いや、パソコンがなくてもスマートフォンさえあ
れば、誰でも世界中の情報にアクセスができる。自分のアイデアを世界に向け
て発信ができる。
これこそがパラダイムの転換なのである。
今や、不動産や自動車から、ファッション、食料品、書籍まで、ネットで買い物が
可能なのである。近い将来、コンビニと運送業者以外の、ほとんどの商店は必要としなくなるだろう。
日本の産業構造自体が大きく変貌する。
あなたは来る時代に備えて、自分の頭脳を鍛え込んでいるだろうか?