高校受験では、なんとか第一志望に合格できた私。


私の合格を母も相当喜んでいた。

まだ入学すらしていないのに

買ったばかりの制服を私に着せ、

祖母のアパートに連れて行かれ、

すぐ近くにある桜が綺麗なところを歩かされた。

後ろから母と祖母が見ていた

写真なんか撮ったりしながら。。



私が合格した高校は

かつて母が不合格だった高校。

母は私が合格したことで、

過去の自分の負けが帳消しになったような

私の塾の送迎の苦労や

お金の工面の努力が報われたような、

そして立派に子育てできた自分を誇らしく思っているような、そんな感じで喜んでいた。




高校に入学してしばらくした頃

祖母が施設に入った。

と言っても

頭も体も元気な祖母。

例のおじさんの計らいで、

新しくできた学生寮みたいな施設に入った。

そこは食事は食堂で他の利用者さんたちと。

お風呂は共同で順番に使う。

部屋は個室でトイレも各自専用。

用事はすべてスタッフにお任せ。

病院併設なので何かあればすぐ駆けつけてもらえる

季節の行事やイベントも施設の食堂で。

お買い物も月に数回、乗り合いで行けるような仕組みあり。

祖母が東京暮らしのときに住んでいた

マンションの七階と同じで施設も七階の部屋。

ベランダからは景色もよくて、

私も老後はこんな暮らしもいいなと思ったり。

祖母もとても生き生きしていた。



ここは我が家から車で10分くらい

高校生が自転車で行くには遠いので

祖母が施設に入ってからは

祖母に会うときはいつも母が一緒だった。



3人で会っても

祖母からの話題は例の従兄弟のことばかり。

祖母はいつも楽しそうにしていたし、

私は施設の様子も新鮮に感じていたから

最初は何も思わず母に言われるがまま

付いて行っていたけれど、

段々、祖母に会いに行く回数は減っていった。