小説のタコツボ

小説のタコツボ

小さい小説、独り言などを書いています

Amebaでブログを始めよう!

市ヶ谷ワークライフもそろそろ3年近くなってきました。

美味しいランチ情報を書いてみたいなっと。


毎年気が重いことが俺にはある。

3学期が始まった小学校では真っ先にお年玉の報告を友達とすることになる。

「俺は4万」「私、2万よ」「ふふ、、僕は大台クリアして10万~」金額は皆様々だ。

はその話題を耳にすると、出来るだけ速やかに遠のくことにしている。

親戚が少なく、『子供に大金をあげてはロクなことにならない』っていう方針の

両親からゲットできる金額は言うことも出来ないくらいチョッピリだ。

でもそんな季節モノは目をつぶっていれば終わるはずなんだ。


でも・・・


チャイムが鳴り、帰り支度をしていたに珍しく児玉君が声をかけてきた。

「一緒に帰ろうよ」もち肌の児玉君は今日はやけに白っぽい顔だった。

「・・・ああ、じゃ途中までね」俺は少し大人びた気分で答えてあげた。

雪が降りそうな校庭は北風の通り道のようだった。


児玉君は自分から誘ったくせに、さっきから一言も口をきかない。

しょうがないからは話題をふってあげた。

「冬休み、どっかでかけた?」

はチラと児玉君の顔を見ると、白いを通り越して青白い程だった。

「・・・うん、おばあちゃんチだけ言ったよ」児玉君はそういうと、俯いてしまった。


なんか悪いこと言ったかな。。。


でもノリがいいほうと言えない児玉君だし、気にしないことにしよう。

「いいじゃん、少しは遠出できてさ。んチなんか、正月こそ旅行に行こうって言ってたくせに・・・」「あ!、、、あのさ」児玉君は急にの会話を強引に遮った。

そして、、黙っりこくったままを抜かし先を歩いた。


は児玉君のテンポの悪さに受験勉強って大変なんだろうーなと思った。

ドンドン進んでいく児玉君の後ろを付いていきながら、今日の予定を考た。

帰宅したら速攻オヤツを食べて藤倉君と約束した公園に急がなければならない。

先に宿題をやるべきか、遊んで帰ってからやるべきか・・・も結構忙しい。


黙ったまま横断歩道を歩き終えたると児玉君はに封筒を差し出した。

「・・これ、お前、預かってくんない?」茶色の封筒は何も書かれてなく、

親が持ってたりする普通のやつだ。


「何、これ?」は差し出されたものを条件反射的に手にし児玉君を見た。

「おばあちゃんチにいった時、僕、親父に会ったんだ」と児玉君。

児玉君んチは親が離婚をしていて、お父さんとは年に数回しか会わないと聞いたことを思い出した。

「おばあちゃんチってお父さんの方のおばちゃんチのことかぁ」

「ああ、面倒くさいよな、人間関係複雑でさ」児玉君は急に年上っぽい表情で言った。

「親父側のおばあちゃんがこれ、くれたわけよ。お前、中見てみてくんない」

はやや重みある封筒の中を覗いた。

1,2,3,4、、、、なんと中には万札で12枚も入っていた。

「・・・すっげぇ・・・」は絶句ってこういうことなんだと知った。


児玉君の説明によると、お父さんと離れて暮らすようになってから、

年齢と同じ金額をお父さんから毎年お年玉としてもらっていたということだった。

児玉君はこれはお母さんと自分に対して悪いっていう気持からくれるのだろうと

受け取っていたということだった。

欲しい物も沢山あった児玉君は、今年は正月がくるのをワクワクしてたらしい。


でも・・・


ある寒い日、塾から別ルートで帰宅することを試みた児玉君は、

夜のバスから道路を眺めていた。

途中道路工事を興味深くを見ていた児玉君は見たことがあるような男の人を見つけた。


『・・・お父さん、だ・・・!』

児玉君は証券会社で勤務しているはずのお父さんの作業着姿に目が点になった。

翌日お父さんの勤務先と聞いていた会社に電話をした児玉君は、

半年前に会社を辞めたことを聞いた。


お母さんに言うのも悪い気がして黙ったままの児玉君は、元旦に予定通りおばあちゃんチへ行った。

バリバリ証券マンのお父さんの話題をおばあちゃんから聞かされ、

児玉君はこの封筒を受け取った、ということだった。

「親父さ、多分おばあちゃんにも会社辞めたこと言ってないんだと思うんだ。

もしかしてリストラっつうやつかもしんない。

でサ、この事おばあちゃんに僕から言うのも変だし、お母さんにも言いづらいっていうかさ・・・」

児玉君はそう言ってに背を向けた。


「僕が持っているっつうのがいいか悪いかわかんないんだよね。

でさ、その答えがみつかるまで、これお前に預かっていて欲しいと思ってさ」

は手の中の封筒がさっきより重くなったように思った。

そしてなりに冴えた事を言いたいと考えて考えて・・・


「これさ、が持っててもいいけど無くしたらマズイしさ、お前にもお前のお父さんにもな。

だからこれ、どうするか決めるまで銀行に預けておくっていうのはどう?」

児玉君はさっきとは違う明るい顔で振り返った。

「そっかぁ、そうだな~」は封筒を児玉君に戻した。

は照れたような児玉君の肩を小突いてやった。


翌日・・・児玉君は銀行で海外為替定期というのを組み、ちゃんと預けたと報告してくれた。

「もし利息がうんとついたらお前に蒲焼くん おごってやるぜ」そう言って児玉君は笑った。

は児玉君にどうして封筒を預けようかと思ったのか質問をしてみた。

どうやら児玉君はがお年玉話題を快く思ってなさそうだと見て、

安心して相談できると思ったらしい。


は信頼っていう「お年玉」をもらったのかと思ったが、そ

こまでウチの親が狙っていたはずもなく、でも何だかイイ気分がした。

このことは皆には黙っていよう。特に親に言ったらウンチクを語るに決まってるからな。。。


小説のタコツボ