算命学には「三分法」という技法があり、

社会人になるまでは年干支が主体、

社会人として現役で仕事をする間は月干支が主体、

現役の仕事を引退してからは日干支が主体、

と、年齢域ごとの移り変わりを見る技法があります。

 

ですが、お気づきでしょうか。

この技法の年齢域という概念は、

大人になったら組織に勤め、定年まで働くというライフスタイルが前提であるということに。

算命学ができた当時は、自営業というのは家業くらいで、

それ以外は、ほとんどが組織勤めという時代です。

特に、今の公務員、役人にあたる「文官」は、目指すべき最高峰の職業とされていました。(だから、「文官」の牽牛星がもてはやされていた、ともいう)

 

しかし、今や、時代は変わりました。

多様な生き方、働き方となり、

上に書いたライフスタイルとは異なるライフスタイルもたくさん。

算命学でいう「初代」にあたる、起業する人も増えてきました。

また、事業を次の世代に引き継ぐという意識の人が減ってきているようにも思います。つまりは「一代限り、自分限りでいい」という意識の人が増えていると。

特に、物を作らない、精神系の仕事は、そういうところがあると思います。

自分の精神を打ち出しているから、引継ぎようがありませんし。

 

また、人の寿命が延び、定年も延びただけではなく、

定年という概念を取っ払った人も増えていることでしょう。

 

ちなみに、上に書いた「三分法」が想定しているのは、

人の平均寿命が60~70歳くらいで、

定年は、50歳くらいだった時期です。

 

今や、平均寿命も定年も、10年以上延びており、これからもさらに延びつつありますよね。

 

・・・となると、もはや、

年齢にこだわらずに、

自身の魂の成長レベル(人生経験で成長するので)に応じて

各自のタイミングで、年干支→月干支→日干支 と、主に輝く干支が遷移していくし、

ゆくゆくは、その3つすべてを統合していい。

と捉える方が、しっくりきます。

 

 

占星術の、天体が主に活動する年齢域の概念も、これと似ています。

こちらは、人の成長という「時間」に合わせて作られたものですので

環境のなすがままの、20歳くらいまでの

月:無意識の習慣(~小学校低学年)

水星:知性(小学生~中学生)

金星:感性、好き・楽しいという感情(高校生~大学生)

は、だいたい年齢域どおりでしょうが。

 

太陽以降は、本当に、

自身の魂の成長レベル(人生経験で成長するので)に応じて遷移していくし

どの天体も、好きな時期に使っていい。

と捉えるのがいいですかね。

 

もちろん、まだその天体をうまく使えていないときは、

年齢域に応じて、天体からの圧が来るのでしょうが、

早めに使えるようになったら、どんどん、次の天体にいっていい。

と。

 

太陽(社会における自分のキャラクター、いわゆる「外の顔」「社会での役割」)を開発したら、さっさと、火星の「適切な負荷をかけた挑戦」「自分のキャラクターの外への働きかけ、打ち出し」に行っていい。

 

そして、火星の「キャラクターの打ち出し」が、中年の危機で行き詰まり、折られることが、あるあるです。

それに降参して受け入れ、変化できたら、さっさと、木星の「寛容と拡大」に行っていい。

 

さらに、木星の「寛容」ベースに、人としての器が大きくなれば、

土星の「試練、枠」を受け入れ、それと向き合う流れが来てもいい。

 

こうやって、自分の成長に応じて、天体の遷移をどんどんたどっていけば、

そのうち、早いうちから、天王星や海王星、はたまた冥王星のパワーも受け取ることができ、「普通の人の寿命では捉えきれない」海王星や冥王星の世界にも、少しは近づけるかも・・・!?

 

 

算命学も、占星術も、

年齢域ごとの資質の遷移があるのは、

人は、年齢を重ねるごとに、人生経験を積み、そこから精神性が成長していく

という前提があるからです。

 

そう、精神の成長が前提です。

つまり、成長スピードに応じて、遷移のタイミングは違ってきます。

上には、遷移が速くてもいい、と書きましたが、

裏を返せば、経験から成長できなければ、いつまでたっても前の年齢域の資質が未完成で、実年齢に合わせて!?他の資質から圧をもかけられ、きつい出来事だらけの人生になってしまうのではないでしょうか。

 

松村先生の占星術の本にも、

火星の年齢域での挫折が中年の危機であり、

この挫折を受け入れられず、いつまでたっても自分のやりたいことに固執していると、寛容の木星域に行くことはできない。

なぜなら、火星は外向き、木星は内向きで、相反する性質だからだ。

相反する性質に変化することはかなり難しいが

それを助けるために、中年の危機の挫折がある。

のような趣旨の説明がありました。

 

それだけ、人は生きていく行程で、人生経験に応じた変化を余儀なくされるし、

人生において、

一見ショックな出来事、思い通りにいかない出来事、挫折体験

というのは、変化を促すために起こるのだ、ということです。

 

 

占星術の「中年の危機」は、40歳~45歳のイベントですが、

算命学の東洋思想の生き方の話でも、

40歳までに、挫折をして、そこから立ち上がる経験をしておくことが大事。

40歳すぎて初めて挫折をするようでは、心が折れてしまい、再起不能になる。

という話があります。(以前も書きましたが、主に、牽牛星の「プライド」に関する話です)

 

「中年の危機」の話と合わせますと、

たぶん、ほとんどの人にとって、40歳を過ぎたころに、「中年の危機」という名の挫折体験が来る。

だから、それまでに、挫折をして立ち上がる経験をしておこう。

という話になりますね。

 

 

算命学で「変化を促す」というと、大運の節目、大運の切り替わりの時期ですかね。

なにせ、10年間の人生のテーマの十大主星が変わりますからね。

人生のテーマが変わるということは

なにがしかの挫折体験が来やすいでしょう。

 

これは、私の個人的な解釈ですが、

若いうちから運気の変化を見て、自分からそれに合わせていくならば

「順当に変化している」ということになって、挫折体験は起こりにくいのでしょうが、、

でも、それでいいのでしょうか?

若いうち、体力気力があるうちに、

その時の自分を押せるところまで押し通し、

それはもう、挫折という「折れる」ところまで押し通し、

折れたところで自分を見直す経験をする方が

人生の経験値はかなり上がると思います。

 

上の話と合わせると、20、30代で、いかに挫折経験を乗り越えるかが、

その人の人生の糧となり、

その人のキャラクターを作っていくものだと思いますよ。

 

年をとると、「体力が衰える」とはいいませんが、

「嫌なこと、合わないことをする体力」は衰えます。

もちろん、「挫折して這い上がる」にもかなり体力がいりまして、年をとってからですと、なかなかきついものがあるでしょう。

そんな時期に来たら、

運気を見てそれに合わせていくことで、挫折イベントという禍をできるだけ回避し、

「体力が衰える」と感じない、気楽にできる、自分に合うことを、無理なくやっていくという、体力を知力、人生経験でカバーする生き方がベストですね。

 

「体力が衰える」と捉えないほどに

体力に自分の活動を合わせていく

(もちろん、禍という、対処に体力を要するイベントを全力回避する)

というのが、

「年をとるほど体が若々しく元気!」

と捉えている人の生き方の本質ではないかな、と思います。

 

 

・・・ということで

私自身、引き続き

日々の人生経験が成長のリソースだと思って、これからも自己観察し、たくさん学びつつ、やっていきますし、

 

周り(というかほぼ会社)の20,30代の人には

出来る限り、挫折→立ち上がる の経験をさせるよう、適切な負荷をかけて見守っていこうと思います。