郵便配達は2度ベルを鳴らしてダッシュする

郵便配達は2度ベルを鳴らしてダッシュする

主に映画について書いていますが、
それ以外にも
アホホーんなお話をします。ええ。

Amebaでブログを始めよう!

 

■映画「エリ殺人日記」が世界へ

 

(前回からの続き)

様々な苦労がありつつも完成した

「エリ殺人日記」は晴れて

東京神田神保町映画祭2020に出品し

約200作品もの中から

最終ノミネート作品の6本として

選ばれました。

 

その際に審査員の方から頂いた言葉を

以下にてご紹介致します。

 

<以下、映画祭の評価より抜粋>

 

この映画を見終わって先ず思い浮かんだのが

「復習するは 我にあり」1979年、

今村昌平監督作品である。

護送されるシーンの、主演緒方拳の

「留置場は、よう冷えとるじゃろうね」

で始まるこの映画、

犯人は、ある時は弁護士、大学教授

に成りすまし殺人を繰り返す。

原作は佐木隆三の直木賞受賞作品で、

映画化にあたっては、黒木和雄、深作欣二、

藤田敏八、などと争っが、

今村昌平監督の人間観察の鋭さと

人間の情念を描いて

日本アカデミー賞やブルーリボン賞を

総なめにした作品である。

自分は神保町映画祭の賞は、青い作品、

青い監督に渡したいと考えています、

今の作品はまだ荒削りではあるが、

創る気持ちが迸る作品に。

しかしその意味では、この「エリ殺人日記」は

全く当てはまらない、それどころか、

旅立ちの声援は必要なく賞を総なめにした

今村昌平監督映画の様に、

既に完成された作品です。

別な意味で、この「エリ殺人日記」も

主演女優賞、脚本賞、撮影賞、監督賞など

総なめです。

見事に描いた傑作です、素晴らしい。 

 

 

■YouTubeにて公開へ

 

さてその後、

神保町映画祭からの紹介で

ドイツ・ハンブルク日本映画祭にも

招待作品として出品され

「エリ殺人日記」は世界デビューを果たしました。

おかげさまで数多くの方に

作品を見ていただけて感無量です。

 

映画祭などが終わったこともあり

一般劇場などでの公開も考えましたが

誰でもどこでも見ることができる

YouTubeにて一般公開することにしました。

 

 

■映画作りは戦いの連続

 

「エリ殺人日記」は

実に制作開始から約6年もの時間がかかりました。

なぜそんなにも時間がかかるのか?

おそらく簡単には理解できないと思います。

撮影自体はそのうちの半分、約3年。

プリプロとポスプロだけでも

3年かかったことになります。

 

時間がかかった大きな理由は

制作資金の問題です。

メジャー映画会社が作る作品は

普通だいたい2ヶ月程度で

長くても3ヶ月程度で撮影されます。

その期間の間、役者、スタッフを

雇い続けるのです。

 

しかし私のようにノウハウはあれど

自主制作で映画を作る場合

2〜3ヶ月もの間、役者やスタッフを

拘束して雇用することができません。

しかも「エリ殺人日記」は

全編、冬の景色にこだわって作っています。

したがってカットをまたいで

1〜2年かかっているシーンもあります。

 

当初はもっと規模が大きく

地方ロケもする予定でしたが

資金も時間も要するため

最小限に留めました。

 

自分が本当に作りたい作品を

自主制作で作ることは

大変な戦いの連続です。

 

 

■映画作りは終わらない

 

私自身は、普段は

番組制作などのお仕事をしていますが

その合間に、また次の

作品を作りたいと、いつも考えています。

頭の中には次の作品のアイディアや

構想が渦巻いています。

 

一部の役者さんとは

すでに相談もしていますが

果たして次回作はいつになるのやら…。

 

このブログを読んでいるのに

まだ「エリ殺人日記」を見ていない方がいたら

是非、作品をご覧いただけると嬉しいです。

それが私の背中を押してくれる唯一の

モチベーションになるからです。

 

■最後に

 

作品をご覧になってくださった方、

このブログを読んで頂いた方、

出演者、スタッフ、

協力してくださったスタジオ、

制作会社の方々

誠にありがとうございました。

 

そしてまた次回作でお世話になります。

 

2021年12月31日

監督:出倉浩司

 

 

皆様、こんにちはこんばんは。

前回の更新から時間が空いてしまい

申し訳ありません。

 

東京神田神保町映画祭2020

ドイツ・ハンブルク日本映画祭2021

に出品していた映画「エリ殺人日記」が

いよいよ2021年12月3日に

YouTubeにて公開されることになりました!

 

大人の事情で、無料での一般公開が

だいぶ遅れてしまい申し訳ありません。

 

ということで

このブログも12/3公開までに完結しないと

いけませんね!(できんのか?)

本編と一緒にこちらの記事を読んで

いただければより一層楽しめるかと思います!

 

それでは早速、前回の続きへ。

 

 

■映画最初のロケシーンは一発勝負

 

前回もお話した通り

この映画のほぼ最初のロケは

主人公がダムの上の橋から

「あるもの」を捨てに行くシーンでした。

「あるもの」が何なのかは

本編をご覧いただくとして

ここで致命的な演出ミスがありました。

 

それは主人公、羽鳥エリの表情です。

(上記の写真の表情を見ればわかる通り)

エリはとても不安そうにしています。

けれど彼女は

「場にそぐわない表情」をする役なので

ここでは平然としている方が

面白かったんじゃないかと思うのです。

 

撮影順でいうとこのシーンのロケは

ほぼ最初だったので

そこに気付けなかったのです。

 

しかしエリのパートナーの男(緑川達也さん)が

とても不安そうな表情をしているので

その感情がエリに乗り移ったと考えれば

OKかもしれない…。

個人的には平然とした表情で

「あるもの」を捨てるエリも見たかったのですが

問題はこのシーンが一発撮りで

そこまでの余裕がなかったということです。

 

■1カメ勝負でダムへ

 

大きな橋の上からエリ達が

眼下のダムに「あるもの」を落とす。

「あるもの」は、かなりの重量があるらしく

ボチャン!と大きな音を立てて水面に落ちる。

流れて行く「あるもの」。

 

小道具として用意した「あるもの」は

予備がありませんでした。

こういう場合、何台かのカメラで

抑えるべきですが予算の都合もあり1カメです。

失敗できません。

何度も入念にリハーサルして

一発勝負で撮影したシーンです。

 

さて結果は本編にてご覧くださいませ。

エリの表情の件はさておき

なかなか上手く行ったんじゃないかと思います。

 

■カメレオンレディ

 

ダムでのロケシーンに始まり

この映画で一番難しかったのは

エリの表情かもしれません。

 

台本にはエリの表情まで

細かく書いてありません。

「なぜか微笑むエリ」とか

「鼻くそを掘りまくるエリ」などとは

書いていないのです。

芝居に関しては、あまり書いていない方が

撮影現場であれやこれや試してみることができるし

台本自体がとても読みやすくなります。

※個人的に台本に細かいことを書き込みすぎるのは

良くないと思ってます。

 

彼女は映画「カメレオンマン」(原題:Zelig)

に登場するウディ・アレンのように

「その場にいる人と同じになろうとする」

架空の病気なのです。

 

本来、こんな病気はありません。

架空の病気です。

男性から見れば、女性って

常に何を考えているかわからない

というギャグと受け取ってもらってもいいくらい。

そもそも「カメレオンマン」はコメディです。

ですが「エリ殺人日記」は

「カメレオンマン」から

病名をいただいているだけで

リメイクではありません。

 

エリを演じる松本めいさんの

演技はとても複雑だったと思います。

例えば精神科医(平塚美穂さん)との

面談シーンがいい例です。

 

エリは精神科医から

色々な質問をされるうちに

どんどん性格や声色が変わって行きます。

このシーンの撮影では

松本さんとお芝居について何度も話し合いました。

正直、複雑なシーンで何が正解なのか

演出するこちらにとっても難しいシーンです。

 

■答えはモノマネかもしれない

 

自分の中で彼女のお芝居のキモは

その場にいる人を「モノマネ」することじゃないか

という答えを持っていました。

 

けれど会話する相手を「モノマネ」する

ということが、役者さんにはなかなか

受け入れられなかったようです。

エリの内面を必死に見つめようとしすぎて

表面的で単純なモノマネでは

満足できなかったのかもしれません。

 

そんなこともあり

エリと精神科医との面談シーンは

とても時間がかかりました。

役者さんに

エリの架空の病気が実は何なのか

説明しきれていなかったのかもしれません。

 

実は、エリの内面をいくら探っても

その答えは永遠に出ないと思っています。

だってそもそもが架空の病気なんだから。

これは「女ってわけわからん!」という

ギャグなんだと言っても演じる側からすると

納得できなかったかもしれません。

個人的にこの映画は

かなりの部分がコメディだと思っています。

恋愛映画でもあり、コメディでもあり

サスペンスでもあるのです。

 

さて「エリ殺人日記」はいよいよこの冬

2021年12月3日YouTubeにて公開です!

 

【次回に続く】

 

 

 

■クランクインは2016年

 

いよいよ映画「エリ殺人日記」のクランクイン。

主役のエリ役は、前述の松本めいさん。

精神科医役には、劇団朋友の平塚美穂さん。

その他、漣研太郎さんや、緑川達也さんなど

主役の周囲は演技経験があまりない方々に決まりました。

けれど、演技経験はあまり僕自身は気にしません。

 

2016年の1月か2月頃

この映画はクランクインしましたが

2020年に完成した(公開は2021年)ことを

考えると、この作品は撮影や編集で

約4年もの時間がかかることになったのです。

 

もちろん、こんなに時間がかかることになるとは

クランクインの時点では想像もしていませんでした。

 

なぜ制作期間が長くなったのかは追々話すとして

このブログは「制作日記」なので

まだ記憶が新しいうちに、順を追ってお話したいと思います。

 

■実在する殺人鬼の証拠

 

松本めいさんが演じる羽鳥エリは

実在の殺人鬼という「設定」です。

これはフェイクなのではなく、

もちろんモデルになった女性がいます。

 

エリザベス・バートリという女性がそのモデルです。

 

エリザベス・バートリ

 

エリザベスは中世ヨーロッパに実在した女性で

召使いの女性を大勢殺害し

その血で入浴していたと言われています。

 

エリザベス・バートリ→エリ・ハトリ

→羽鳥エリってこと。

 

まあそんな設定はどうでもよいのですが

この映画には、主役の彼女、羽鳥エリが

「実在していた!」と思わせる仕掛けを

入れたいと思っていました。

「こんな女性がいたんだ!」というギャグ?です。

 

なので、映画が完成する遥か前に

彼女が作った人形劇が動画投稿されていた。

という仕掛けを作りました。

 

 

 

羽鳥エリは、この動画を投稿している

実在の人物だぞ!っていうギャグ?です。

 

そのため、クランクインはしたものの

まずは人形劇だけを撮影しました。

いよいよ本編の撮影が始まったのは

さらにその数ヶ月後

2016年の暮れだったと思います。

 

■街を歩くエリ

 

エリは放浪癖のある人物なので

ドラマシーンを撮影する前にエリの放浪シーンを

ひたすら撮影した記憶があります。

彼女はトレードマークの赤いマニキュアをつけ

オレンジ色の旅行カバンを転がしながら

街を放浪します。

 

赤いマニキュアは

松本めいさんのアイディアなのですが

最初はちょっと悩みました。

 

というのも、

エリは「自分」を持たない役だからです。

その時、その周囲にいる人に同化する人物なので

自己主張のある「赤いマニキュア」は

不相応だと思ったのです。

 

けれど松本さんが提案したように

誰とも一緒にいない時間は

何かしらアイコンとなるものがあった方が

感情移入しやすいと考え直しました。

 

 

街をさまようシーンは

羽田空港や有明付近で多くを撮影しましたが、

昼夜問わず、街を歩くカットバックを

どうしてもやりたくて

丸一日ロケをしたこともあります。

 

ちなみに本編をご覧になるとわかるのですが

昼と夜に同じ街頭を歩くカットバックは

僕の大好きな映画

「真夜中のカーボーイ」のオマージュです。

きっと誰も気づかないだろう…。

 

さて撮影は進み次のロケ撮影へ。

いよいよドラマシーンの撮影です。

 

エリのドラマシーンの最初は

確か宮ヶ瀬ダムだったと思います。

エリと同棲している舟田(緑川達也さん)が

ダムに遺体を捨てに行くシーンです。

 

けれどこのシーンの撮影後に

ある欠点に気づきました。

最初のシーンだからこそ起こったミス…。

やっべ取り返しがつかない!

エリの表情が!

何が起こったのかはまた次回話します。

 

次回につづく