日本のロックとフォークの歴史を理解するために参考となる本 | spanish castle magic

日本のロックとフォークの歴史を理解するためには、研究本が参考となるのはもちろんですが、当事者本人により語られたものは、経験に基づいているので、臨場感、心情の描写、ディティールなどに勝る部分があります。また、人間の生き方としての興味も惹かれます。例えば、徳武弘文さんとエド山口さんは、ともにベンチャーズに多大な影響を受けギターにのめり込むようになりますが、その後の音楽活動は、異なったものになっています。それでは、そのような本を何冊か紹介します。

ぼくらは今もエレキにしびれている 徳武弘文 2007年9月21日 かんき出版

徳武弘文は、「山本コウタローと少年探偵団」、「吉川忠英とホームメイド」、「ラストショウ」に在籍しましたが、特にその前史を知りたいと思っていました。シュガーベイブを輩出した四谷の喫茶店「ディスクチャート」との関わりなどに興味があったのです。

Sp30004目次:はじめに 今でも気分はベンチャーズ/序文 ナチュラルトーンな生き方(山本コウタロー)/第1章 ぼくらはエレキにシビレてた 急がば廻れ/手作りのギター/即席テープレコーダーアンプ/エレキバンドは「反社会的」/ヤスリで削ったサムピック/ロック喫茶「Be'Bop」での出会い/第2章 風に吹かれて 仙台放浪時代/阿佐ヶ谷のコミュニティ/スタジオミュージシャンも底力/初めてのスタジオ/深夜のセッション/なんとかなるよ/対談 僕らが少年探偵団だった頃 山本コウタロー×徳武弘文/第3章 地図に埋もれた町 思い出の土地/一本のギターで仕事をしていた頃/自分が求められる場所/Dr.Kモデル/ギター作りの達人/「ラストショウ」結成/レコーディングの今昔/着え行く「グルーヴ」への抵抗/ラストショウ独立/ルーツの研究/究極のおやじバンド/第4章 BLUE DAYS & HAPPY DAYS テクノの波/悩み迷う日々/音楽の都/リラックスの意味/廻りだした歯車/CM音楽の制作/プロデューサーの役割/ナッシュヴィルでのレコーディング/アンプラグドブームがもたらしたもの/楽しむことだ/いつでもギターを持っていろ/第5章 エレキバンドが夢だった ベンチャーズナイト/エレキ・インスト・バンド「Dr.K Project」の誕生/愛すべきベンチャーズフリークたち/最後のサムライ・大村憲司/ベンチャーズ少年・村下孝蔵/「永遠のギターキッズ」での出会い/ベンチャーズの彼方へ/エレキギターの実験と冒険/対談 レス・ポールが教えてくれる生き方 細野晴臣×徳武弘文/第6章 人生は修学旅行 ギターの魂/音楽の醍醐味/生きていくリズム/コンピューターと音づくり/小坂一也さんの思い出/職人エンターティナー・南こうせつ/フィンランドへの旅/第7章 大志を抱け お父さん! ノウハウを伝えていく意義/親として、先輩ミュージシャンとして・・・/子どもたちに残してやれるもの/新しいコードを探して/理想のギタリスト像/付属CD収録曲解説/徳武弘文Discography

Band299この中で、山本コウタローが、徳武について、「一時期、彼は、頭からつま先までオレンジ一色のいでたちで行動していた。服や靴だけではない。手にしているエレキギターまでもオレンジ色なのだから、目立たないわけがない。」と書かれています。それは、この写真の感じでしょうか。1974年、「ラストショウ」として泉谷しげるのバック・バンドをやっていた頃のものです。右から、徳武、尾口武、村上律、泉谷、松田幸一です。確かに、徳武はオレンジ一色ですね。

激突!エレキ地獄 バンド屋青春物語 エド山口 2003年4月4日 シンコー・ミュージック

エド山口は、モト冬樹の実兄です。モトとグッチ裕三のプロデビューは、エドとのバンド「ブルーエンジェル」であり、「ビジー・フォー」の前史を知りたいと言う気持でこの本を買いました。エドのバンドにかける情熱と、ハコバンの生々しい実際の描写に引き込まれました。

Sp30003第1章 エレキ地獄への扉 質屋/禁じられた遊び/青春歌謡とベンチャーズ/エレキ・ブーム/世紀の発見!幻の十六回転/深夜の特訓/家系/初恋/モズライト/第2章 エレキ地獄への招待 勝ち抜きエレキ合戦/ジ・アソーツ/ビートルズ来日!/ジャズ喫茶/『Fifty5』結成/芸能界は怖い!/一人の決意/怪我/第3章 エレキ地獄への進撃 再びバンドへ/岩本功二とムーディスラティーノ/ホール大洋/中川武という人/ソウル・バンド結成に向けて/六本木「エルドラド」/また騙される!/バンド結成/ブルーエンジェル/交通事故/第4章 エレキ地獄への突入 初ステージ/タートルクラブ/1970年暮れ/贖罪/再び横浜へ/オルガン奏者見つかる/ダイタンチェーン/鍵盤が足りない!/パブスキャット/「研ナオコ」という歌手/N枝との別れ/兄弟喧嘩/山岸が辞める/メンバー入れ替え/いよいよ「新宿ムゲン」へ/第5章 激突!エレキ地獄 ムゲン初日/ムゲン点描/ムゲン点描2/歌舞伎町の怖さ/永田さん/屋上ビアガーデン/赤坂ヌマエラ/「松崎しげる」と「永井秀和」/奪回作戦/イェンイェンとの同棲/六本木アラビアンナイト/亀裂/ブルーエンジェル解散/あとがき

さよなら!セブンティーズ サエキけんぞう 2007年2月28日 クリタ舎

サエキけんぞうのことは、「パール兄弟」で知りました。その前に、「ハルメンズ」や「少年ホームランズ」などを結成していたことを知り、ニューウェイブの人なんだろうと思っていました。すると、大滝詠一のラジオ番組「ゴー!ゴー!ナイアガラ」の常連で、はっぴいえんど系のライブにかなり足を運んでいたことが分かり、全く認識が変わりました。この本は、まさにその頃のことが書かれています。

Sp30005目次:大滝詠一との幸せなサークルゲームの頃/スカートめくりとホワイトアルバム/グループサウンズとヌード劇場の匂い/チクロとローリング・ストーンズ/小学生に話しかけるロック業界の先輩の方々/ビートルズの4人揃ったサイン/ロリータ・ジョージ・ハリスン~僕が性犯罪者にならずに済んだわけ/鈴木ヒロミツの温かい手のひら/頭脳警察が不穏な夕方にやってくる!?/千葉のウエストコースト、子供をロックにした喫茶店/山田ジャガーとエマーソン・レイク&パーマーの偽新作/高田渡とオールナイトのピンクっぽい映画/サディスティック・ミカ・バンドと加藤和彦の視線/百軒店では「はちみつぱい」にお説教される/日比谷で魔女と痴漢にやられる/山下達郎と地底探検/触れられるところにティン・パン・アレイ/全冷中とうわさのチャンネル/セックス・ピストルズと70'浪人ゾンビ/大阪らしいエルヴィス・コステロ、京都らしいデヴィッド・ボウイ、大阪らしいディーヴォの客、西部講堂らしいジャン・ジャック・パーネル/六本木の夕日とYMO/幻覚の見える喫茶店/ジャズの帝王、ナベサダに警告される/徳島文化センターで「焼きソバ老人」を坂本龍一に無理矢理、聴かせる/BYE-BYE スイートスイート70's/解説 忘れられないセブンティーズ(福間健二)

スパイダースありがとう! 井上堯之 2005年1月24日 主婦と生活社

GSについての興味は、故・黒沢進が1986年に著された「熱狂!GS図鑑」で果たされました。そこで、「スパイダース」の編成に、かなりの異動があったことを知りました。ここに、「PYG」と「井上堯之バンド」がつながることが分かったときは、大変うれしかったです。この3バンドの変遷を井上が語ってくれることに興味が湧きました。井上堯之は、長年にわたり芸能界の第一線で活動しながらも渋さを感じさせるのが凄いところだと思います。

Sp30002目次:第1章 上京、運命の出会い 決意の旅立ち/大野克夫の加入/天才?凡才?ムッシュかまやつ/第2章 スパイダースのメンバーに 昭ちゃんとの強烈な毎日/最強オモシロ男、マチャアキ登場/第3章 すべてを変えたビートルズ ビートルズにノックアウト!/突然の指名!ボーカルからギターへ/7人で昇り始めた栄光への階段/第4章 スパイダース、一世風靡 ビートルズの前座を断る/ホンモノを目指した昭ちゃんの戦略/『夕陽が泣いている』が大ヒット/第5章 ショーケンの姿に故郷神戸の悲しみを見た ライバル、タイガースの出現/戦争と幼年時代/人生観の礎『黒谷和讃』との出会い/第6章 スパイダース解散秘話 遂に世界進出!?/アレンジャーデビューとブームの衰退/昭ちゃんへの疑心暗鬼/第7章 伝説のグループPYGの光と影~井上堯之バンド結成へ スーパー・バンド結成/井上堯之バンドと作家活動の始まり/会社設立と巨額の負債/第8章 作曲家として人生を見つめ直す旅へ 作曲家に専念し、ギター封印へ/貧乏になって出直す/対談 井上堯之×萩原健一/第9章 自ら望み、克服したがん~そして海外へ ギター弾きとしての再出発とがん宣告/音楽。役者。世界へ処女航海/朋友からのメッセージ 田辺昭知/ムッシュかまやつ/堺正章/井上順/宇崎竜童/阪本順治/佐々部清/矢作大輔/楽譜 井上堯之作品集 循環/希望/流浪の民/朝に祈る/年表/後記

日本フォーク私的大全 なぎら健壱 1995年9月25日 筑摩書房

なぎらは、「日本のフォーク」のファンがデビューした最初の世代ではないでしょうか(次の世代は、坂崎幸之助でしょう)。1970年の全日本フォーク・ジャンボリーのアマチュア・コーナーで歌った「怪盗ゴールデンバットの歌」がライブ盤に収録されたのがきっかけでプロになりますが、ファンの視点が、その後の活動の中にもあるように思います。例えば、加川良の「教訓Ⅰ」の替え歌で「教訓Ⅱ」を作ってしまうとか、高田渡のステージ・エピソードをネタにしていることなどです。この本は、なぎら自身も含めて、日本のフォーク・シンガーやフォーク・グループについて語るものですが、そこにファンの視点があるからこそ、愛情を感じるのだと思います。

Sp30001はじめに/1 高石ともや/2 岡林信康/3 五つの赤い風船/4 高田渡/5 遠藤賢司/6 加川良/7 三上寛/8 斎藤哲夫/9 吉田拓郎/10 武蔵野たんぽぽ団/11 RCサクセション/12 泉谷しげる/13 もんたよしのり/14 友川かずき/15 井上陽水/16 なぎら健壱/あとがき/付・日本フォーク私的年表/索引