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今日は春の嵐が過ぎ去ったあとの爽やかな晴天。朝の有酸素運動にでかけてきましたが、富士山がくっきりと見え、更には空気も澄んでいるのか、箱根の山々まで見えました。心も澄み渡るような、そんな朝です。
さて、断酒をテーマにした連載ものですが、ちょっとヤワな私小説みたいな、いいおじさんのくせに中二病もどき(笑)の内容で、こんな晴れやかな日にはふさわしくはないのですが、本当に自分の体験をもう一度呼び起こして書いてます。
お時間が許すならもう少し、お付き合いください。
薄暗い闇の淵に立って(ダークサイドに落ちる前に帰還したこと)その2の続き
そのまま、固まったように動けなくなっていると、電車は池袋へ到着していた。
本来なら乗り継ぐだけなのだが、このまま電車に乗り続ける気分が起きず、
東口の改札を出る。
街の雑踏の中に自分の身をを置いてみる。
昼過ぎから降り出した冷たい雨がぼたぼたと大粒の水滴となって、
道行く人の傘を濡らしている。
周りは日が沈んで真っ暗になっていた。
そうだ、あの場所なら、気持ちが落ち着くのでは。
そこは、東口にある大型書店のジュンク堂書店池袋本店。
週に一度は書店に足を運ぶのが日課である自分にとっては、馴染みのある場所。
そこで、本でも読めば、気持ちが晴れるだろう。
気になる本があったら買って読もうか。
色々なジャンルの本に手に取ってみる。
でも、頭に入らない。文字がすべて頭に覆いかぶさっている、
ねっとりとした黒い澱の表面を伝ってスルスルと下に落ちていく。
もはや、ここにいることに何の意味があるのか分からなくなってきた時に
あるジャンルの棚にたどり着いた。そこは4階の人文・心理フロアで、依存症のコーナーがあり、アルコール依存症に関する本が並んでいた。
本のタイトルを眺めていると、自分はアルコール依存症なんだ。
もう普通に社会生活を送れないのか。
そんな言葉だけが、意識に浮かび上がっていく。
何冊かの本を読んでも気休めにしかならない。
もういいや。外に出よう。
エスカレーターに乗って、1階にある店の出口に向かうと、夜の街のざわめきの中で、冷たい雨だけが変わらずに降り注いでいた。
でも、店の出口から一歩も外に出れなくなっていた。
この冷たい夜の雨と、自分にのしかかるこの黒い澱が混じり合うと、もう後戻りできないようなことが起きるのではという直感が全身を支配した。
入口付近で佇んでいると立て続けに電話が入った。
仕事の事務連絡と、古い友人からの飲み会のお誘い。
今仕事帰りにに四谷で働いている友人に連絡して今から飲みに行くけどこないか。
という無邪気なものだった。
おそらく、一日前だったら、喜んで飲みに行っただろう。
今はそんな気力は残っていない。
仕事で出張中という偽りの理由をつけて、お誘いを断る。
スマホを切った瞬間に、また後ろに後退していた黒い澱がまた戻ってきた。
これまでに無い思いだるさをどうすることもできない。
もうどこにも動けない、家に帰れない。
自分という存在が無意味にただ消滅するのか、他に光明はあるのか。
今まで独りでもがいてきたが、何か他に方法はあるはずだ。
見つからなければ、諦めるしかない。
さきほどの電話を終えたまま、手に持っているスマホで、アルコール依存症のキーワードでグーグル検索を始めた。
検索と閲覧をつづけているうちに、1つのWebサイトに出会った。
(つづく)