このブログにご訪問いただき、有難うございます。

 

今日も雨が降り続いています。

いつも通り4:45起床。雨の中、外に散歩してきました。

新緑の若葉がしっかりと大きくなって、春本番を迎えようとしています。

人間の世界はコロナ騒ぎで浮足立っていますが、

自然は変わらず、生命としての営みを続けていました。

この大きな自然の流れに従うこと。そこに喜びを見出すことが大切だと

思いました。

 

昨日から掲載している、断酒をテーマにした連載ものですが、お時間がございましたら、お目通しください。

 

薄暗い闇の淵に立って(ダークサイドに落ちる前に帰還したこと)その1の続き

 

まずは、酔ってもはや生ける屍となった自分の身体を無理やり起こす。

今日は午後から会社関係者が集まっての全体会議がある。

会場となる北関東の都市までは長い移動が必要。もう家から直行しよう。

 

本当は会社に行ってやることがあったが、そんな気力も湧かない。

連絡だけしておこう。明日やればなんとかなる。

 

飲んだ翌日はそうやって、仕事、自分のこと、家族を後回しにしてきた。

結局、望むと望まざるとに関わらず、酒優先の生活。

そのツケが一気にのしかかってきた。

 

午後からスタートした会議は主催者としての立場だったが、

司会の部下が予定通り円滑に進行しており、ありふれた仕事の流れが続いている。

 

自分では気づかないが、二日酔いのアルコール臭を撒き散らしているものの

表面上は何事もないように振舞う。

 

しかし、二日酔い独特の気持ち悪さ以上に、自分の内面は崩壊を始めていた。

そう、あの黒いシミのようなものが、どんどん広がっていたのだ。

それは既に心の中をすっぽりと覆いかぶさるようになってきた。

会議での交わされる会話など、とっくの前に耳を素通りしていた。

 

「会議の後、このまま懇親会が始まりますよ。」

その声で、少しだけ正気に戻る。

 

「いや、今日は戻ってやることがあるから帰るよ。」

そういって、帰る予定の人が予約したタクシーに乗り込み、

駅では、メールを確認するという口実で、同僚と離れ独りで電車の座席に座った。

 

これで少しは開放されるかもしれない。早く帰って休息しよう。

どんよりとした雨模様の窓の景色を眺めながら、気晴らしに本を取り出す。

 

ところが、本を開いて少しもたたないうちに、

朝から感じていた、心の澱。黒いシミのようなものが、

もっと粘り気のあるねっとりとした重いものとして、ドロドロと頭の中に

溜まりはじめてきたのだ。

 

自分ではもう、その重みに耐えられない。

 

その時だった。

 

わかってしまった。

 

ふいにその正体が、現れてきたのだ。

 

それは言葉で言い表すなら、

虚無感と絶望感をまぜこぜにした、破滅へ誘う想念。

 

これまで自分が敢えて目を向けず放置していたものが、

一斉に自分に襲いかかってきたのだった。

 

自分には破滅に向かう流れを止められない。もうそれでいいんだ。

そうなるようになっていたんだ。どうでもいいんだ。限界だ。

 

そんな思いだけが、厚く堆積しつつある心の澱の周囲をぐるぐると回り続けている。

 

もはや、目を開けることもできず、頭を抱えて座席にうずくまるようにして、

その衝撃を受け止めることしかできなかった。

 

(つづく)