いつも陽気なかしまし娘

3月2日(土)

風の強い朝じゃった。

頬に当たる風が痛いくらいの強風が吹き荒れて、歩きづらい散歩となったのう。

それでも元気に飛び回るヒヨドリに励まされて、なんとかいつもの橋まで辿り着く。

どんどん日の出が早くなる。

ふと「北風と太陽」の話を思い出す。

北風と太陽が言い争うこと自体、無理があるな。

 

いつもは穏やかな川も激しく波立っている。

 

今日も水鳥には逢えないかなと寂しくなる。

 

ところが、ふと橋の下を見下ろすと1羽のオナガガモがこちらを見つめているじゃないか。

 

まるで、最後のお別れのあいさつにやって来たかのよう。

 

もう旅立ちの日も近いのかな。

 

これから長い旅路が待っているから、たっぷり栄養を付けてね。

 

どのくらいの日数をかけて北の大地にたどり着くのだろう。

 

渡り鳥と留鳥。

安住の地を求めて生きる生き物を見ながら、わが人生に置き換えてしまう。

 

俺を見る目が物悲しそうに移るのは、俺の妄想だろうか。

 

そんなことはどうでもいいから、早く帰ろうよと俺を急かす静。

 

君の引張りが、俺を現実の世界に引き戻す。

 

今朝は、1匹の犬とも出会わなかったね。

 

俺だって、こんな風の強い日は早く帰りたいんだけど。

 

散歩の後半になると、だらりと尻尾が垂れ下がる。

 

何が怖いんだか、俺には理解できないよ。

 

横を向いたり、後ろを振り返ったりと落ち着きがないねぇ。

 

そろそろ落ち着いてもいい年頃だと思うのだけど。

 

今朝のご飯は、昨日ライフで買ってきた鶏もも肉だよ。

 

ジャンボパックを買ったので、昨夜は鳥の唐揚げをたっぷりいただいた。

 

まさか、この俺が自宅で鳥の唐揚げを揚げるようになるとはね。

 

外はカリカリ、中はジューシー。

我ながら美味く揚がったものだと嬉しくなる。

 

静の食べやすい大きさに、丁寧に鶏もも肉を切り分ける。

 

研いだばかりの包丁だから、切れ味が抜群だ。

 

歯を乗せただけで、すっと鳥皮が切れる。

 

茹で上がった鶏もも肉を冷ます間、昨日ライフで買ったイチゴをいただいた。

 

久しぶりに頂いたな。

もう少し甘いかと思ったけど、ま、値段が値段だからね。

スッパ!

 

今朝もすぐに完食してくれた。

 

元気に食べきってくれると、嬉しくなる。

作り甲斐があるというものだ。

 

で、俺だけがイチゴを食べるのでは申し訳ないと思い静の鼻先にイチゴを近づけるが臭いを嗅ぐだけだった。

 

俺の朝ご飯は、炊き立てのご飯に納豆をのせていただいた。

刻んだ長ネギがシャキシャキして美味かった。

 

静に吠えられながらも無事に土曜日の燃えるごみを出して、ホッと一息。

 

コーヒーを頂きながらソファーでまったりする。

 

すると足音を忍ばせて近づいて、俺の前にちょこんと座る静。

 

手を伸ばすと、優しく前足を載せて何かを懇願する。

 

ジャーキー?と聞くと、ペロッと舌を舐めて「そうだよ。」と返事をする。

「さっきご飯を食べたばっかりでしょ。」とたしなめてもお手を繰り返す。

 

しょうがないなぁ。

重い腰を上げておやつを食べさせる。

 

ま、毎朝繰り返されることなんだけど。

それはそれで、嬉しいひと時なんだな。

 

バカバカしい人生より

バカバカしいひと時が嬉しい

 

そんな唄を思い出し、どんな歌詞だったか調べてみると

すげぇ―歌詞だな。

昭和歌謡は、何の制約もなく自由だったんだな。

 

バカバカしい人生、それも悪くないなと思う年頃になった俺だった。