長男くんに小言を言ったら拗ねて

別室に姿を消した。

気になって覗きに行くと

仏間で寝そべって何かしている。

"ちょっと次男くんの歯、見ようと思って"

骨壷とは別の桐箱に納めてある

次男くんの歯を眺めてそっと撫でていた。


次男くんの骨揚げをしたときに

奥歯がとてもきれいに残っていたので、

斎場の担当の方がほかの骨と分けて置いてくれ

肌身離さず持つつもりで

そのまま分けて置いていた。


長男くんもいろいろ思うことがあるだろう。

その様子を見てまた目頭が熱くなる。



私も夫も晩婚で

早く子供がほしかったわりに

一年はのんびりし、

それから通った不妊治療で

顕微受精をして

ありがたいことに長男くんを授かった。

その時受精した卵子の中に次男くんもいて

冷たい中、2年半待っていてくれ

採卵から3年3か月して

次男くんは誕生した。


晩婚で高齢出産だから

一人授かるだけでもありがたく

まさか二人も授かるなんて夢のようだった。

高齢夫婦としては

自分たち亡き後も

兄弟仲良く過ごしてくれたら、と

先の不安も少し軽減したように思えた。


次男くんの命名には

四柱推命の先生のお墨付きをもらい、

弟がいろいろアイデアを出し

兄の行動力でそれを実現していく

仲のよい兄弟になる、

なんて言ってもらって

喜んで安心してた。


私の母方の祖母は、

''あんたは歳いってるんだから、

寂しくないように

せめて子供は3人ほしいわね"

と言っていたけれど、

なかなか嫁ぎ先が決まらずやきもきさせられた後

ようやく結婚した孫に

"2人はほしいわね"

と言い直して亡くなった。


"さすがおばあちゃん!

1世紀生きた人は違うね。

おばあちゃんの言う通りになったね!!"

"受精卵になった時期は同じだから

年齢は違うけど双子みたいよね"

なんて

折に触れ、母や夫に

嬉々として話してた事が嘘みたいだ。


なんでこんなことになってしまったんだろう。


その思いはずっと消えない。


でも長男くんの姿を見ていて

あの子はあの子で

いろいろなことを感じていて

次男くんのことも感じていて

直接のやり取りはないけれど

次男くんと過ごした時間、亡くなった事

受け取った全てのことが

これからの長男くんを形作っていって

その中には必ず

いまは目に見えない次男くんも

息づいているのかもしれないと、

そんな形でも

兄弟一緒に生きていってくれたらと、

そんな風に思うのです。



ここ数日の気分は凪。