虫の音が聞こえる

 

 

みみょーんにみょーん

 

 

蒸せかえるような日差しのもと、僕は探していた。

あのときから失われてしまった、夏(サマー)を。

すれ違う人の好奇の目にさらされながら、雑踏の中を歩く。

気温だけは高いけれど、夏とは違う季節の中を。

 

「はぁ、はぁ、はぁっ」

年老いたじじいの息はあがりがち。

「ず、ずびばせん、この辺りに夏(サマー)は?」

誰も行き倒れのじじいの声を顧みない。

そもそも声になっているのかさえ分からない。

乾いた喉がはりついてしまっている。

朝から何も飲んでいないのだ。

 

と、そのとき、

 

「ご主人サマー!」

今でも耳に残る、少し舌っ足らずの甘い声。

 

頭をあげて声がしたほうを眺めると、

そこには一人の「社長」が立っていた。

(な、ぜ、社長なんだ?そこは少女とかじゃないのか普通?)

「き、きみは?

「私は社長、行き倒れのじじいにオムライスを恵んでいます

 

いや、できればオムライスとか喉乾くので今は、

一杯の水のほうがうれ「オムライスの話以外すんじゃねぇっ!」

「はい!

 
からっからの喉にオムライスが容赦なく注ぎ込まれる。
「うぐぅぐはっぐわぁあぁあ
 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ死んだ!
虫の声ではなく、今、僕が虫の息。
 
そうして、僕の短い夏は終わった。
 
 
 
お題を頂いたけど、うまいこといかんな。
夏=サマーのネタは過去に書いてる

そっちのほうがうまいこといったな。

次回、またネタちょうだい。