久しぶりに食べた彩華ラーメンの余韻に浸りつつ、
再び自転車を漕ぎ始めるオレ。
ふと彩華の駐車場を見ると、他府県ナンバーだらけ。
そう、そうなんだよ、それが彩華なんだよ。

王寺までの道のりは大和川沿いに、軽快に。

王寺を越えて、いよいよ山へ向かう。
いや、向かいたくはないんだけど、愛フォンがそう言うから。
大和川を渡って住宅街へ。
「コノ先、右デス」
指示にしたがい、右折・・・おっと階段があるんですけど?
「ソレヲ上ッテクダサイ」
ここで引き返すのも負けた気がするので自転車を担いで上ってみた。
よくよく地図を確認すれば階段を上らなくてもその先へ行けたのでは?
いや、これはオレと愛フォンの駆け引きなんだ。
無理難題をふっかけてオレを困らせようとする愛フォン。
しかし、それを涼しい顔でこなしていくオレ。

「とぅるるるる、とぅるるるる」
あきちゃから電話が有った。
あ「今、何してる?」
D「坂道のぼってる」
あ「?どこ?」
D「奈良と大阪の境ぐらい」
あ「・・・」
D「閉店までには間に合う・・・と思う。」
あ「・・・」

住宅街を抜けると大学が見えてきた。
奈良産業大学だ。
少し懐かしい。記憶が確かなら模試を受けにきた希ガス。
志望校判定で某大学と書いて「D」を喰らった模試。
キャンパスの裏手の坂道(かなり急な坂道だった)を上っていくと
道は林道へと変わった。熊でも出てきそうな道。
すこし前にネットで読んだ「クマが私を食べてるの」と携帯で
中継した娘の話が頭をよぎる。
「いや、ここは日本。それは無いやろ!」と自分に言い聞かせる。

林道をしばらく行くと、少し太い道に出た。
どちらへ曲がればいいんだろう?と愛フォンを覗き込むと、
「右斜メ前方デス」
ん?斜め前?そんなところに道は・・・有った。
まさか、これを上れと言うのか?
右斜めでもあるが、上にも斜めになってる道。
自転車を漕いでは上れない道。
「なるほど、おもしろいじゃないか」
自転車を押して上ることにした。

自転車を止めておくことすら困難でははいのか?と
思えるほどの急坂を上ると、そんなところにも民家はあった。
散歩をしているのか、老婦人とすれ違う。
D「こんにちは」不審者と思われないように、爽やかな笑顔で。
老婦人「あれ、まぁ、下から、自転車で、あらららららら」

そこを抜けて、さらに道は続く。そしてどんどん上っていく。
しばらく行くと、アスファルト舗装がコンクリに変わった。
道ばたに倒れそうになっている看板に目をやると、
「この先、道路崩壊中、通行困難」
などと書いてある。え、まじで?
それでも引き返すことはできない。愛フォンが行けというのだから。
「ソノママ道ナリデス」

コンクリの舗装が土道に変わった。そして畦道へと変わった。
それでもひたすら前へと進むオレ。
・・・なんか、今、歩いている(自転車はずっと押している)とこ、
道というか、畑の中のように見えるんですけど・・・。
そして、とうとう、
Dのフロク-ipodfile.jpg
こんなところへたどり着いた。
それでも愛フォンは、先へ進めという。
画面中央の暗がりの先へ続いている、けもの道へと。

時刻は6時半。少し、薄暗くなってきていた。
この道を行くべきか、戻るべきか、それが問題だ。
「遭難」の二文字が頭を駆け巡る!
冗談ではなく、わりとマジで。
トントントンツーツーツートントントン(モールス信号「SOS」)

死ぬわけにはいかない!
自宅においてあるアレとアレとアレとアレと・・・・を処分してからでないと!
そして、今、着ている
この青いHZKTシャツの名にかけて、
死ぬわけにはいかない!


さらに、つづく