新人「せ、先輩、何かいます!」

ベテラン「そうね、あなたがここに来て、休日の早番は
     初めてだったかしら?じゃぁ、研修の仕上げとして、
     奴の相手をしてもらいましょう。
     まずは、シャッターを開けてみて?」

新「大丈夫、なんでしょうか?」

べ「ふふふ、大丈夫よ。
 そとにいる生物はDといって
 このカヘに巣くうキモヲタ。
 でも、安心して。
 ちゃんと対処法はマニュアル化されてるから。」

新「わかりました。」

とか、そんなことを考えながらカヘの開店を待つオレ。
重苦しい音を上げ、巻き上げられていくシャッターの
向こうに、見知らぬメイドさんが立っている。
目が怯えているようだ。

新「せ、先輩、やつが、Dがこっちを見ています!」

え、いきなり呼び捨て?初対面なのに?
だが、そこがいい。

ベ「まずはコーヒーよ。奥へ行ってキッチンのハリーさんに
 コーヒーを淹れてもらってきて。それから、オーダーを取りに行くの。」

新「え、順番が逆じゃないですか?」

ベ「いいの、それで。どうせコーヒーしか飲まないんだから。
 それでもオーダーを取りに行くフリはしなきゃダメよ。
 形だけでもいいの。それであいつは満足するんだから」

新「先輩、でもさっきからこの会話、聞こえちゃってますけど。」

べ「そのほうが喜んでるんじゃないかしら?」

といってオレのほうを見る。

その通り!まさにオレは喜んでいた。

・・・

ベ「コーヒーが上がったようよ、あいつのところへ運んで
 砂糖とミルクは忘れずに、ね。」

新「お待たせしました。」

ベ「砂糖よ、とにかく砂糖、一に砂糖、二に砂糖、
 早く、入れて!

遠くのほうでベテランメイドが叫んでいる。
その声に呼応するように新人メイドが
コーヒーに砂糖を入れ始めた。

一杯、二杯、三杯、とめどなく砂糖が注がれていく。
どうにも止まらない。
そして、あと一杯であふてしまう、そのギリギリで
砂糖は止まった。
ミルクはどうするのだろう?
すると新人は、躊躇することなくミルクを注ぎ始めた。
こ、こぼれている。当然のことだ。
しかし、臆することなく、今度はかき混ぜ始めた。
大胆かつ繊細に。
ソーサーの上にもコーヒーがなみなみと満たされた。

この新人、デキる!

そう思った瞬間、自然と笑みがこぼれた。
奥のほうではベテランメイドも微笑んでいる。
新人も不敵に笑いを浮かべている。
キッチンではハリーさんが苦笑い。

カヘは笑いに包まれた。

そうして日曜日の朝が始まった。