「キャンサーギフトという言葉が嫌い。
 やっぱり私はがんにはなりたくなかった。」

娘に付き合ってもらって参加した
聖路加国際病院ブレストセンターの
乳がん女性のためのサポートプログラムイベントで
若くして乳がんを罹患した方がポロリと言った言葉。

35歳以下で乳がんを罹患した女性たちで
構成するフラグループの発表の前の一言に
明るいプログラムで笑いが続いた会場の空気が
さっと変わりました。


そうだよね。
そうだよね。
できることなら、なりたくなんかなかったよ。


がんになったおかげで気づく
命・時間、人とのあたたかなつながりの有り難さ
がんという機会が人生を豊かにしてくれると
励ましてくれたり、
自分自身が自分にいうことも多い。


どんなことでも様々な角度でとらえることは可能。
がんに罹患しことも
いくらだって、前向きにとらえることはできます。
確かにギフトは多い。


でも、そうだよね。
「やっぱり私はがんにはなりたくなかった。」
そう言って、目の前で泣いてくれることで、
自分の中にもあるその気持ちが出てこれる。
ポロリポロリ。
「なりたくなかったよー」


フラの仲間に肩を抱かれ、涙がおさまった後、
彼女は言葉を続けました。
「こうやって、一緒にフラを踊る
 乳がん罹患の仲間ができ、
 仲間と掲げた念願も叶ってきている。
 キャンサーギフトということを認めざるを得ない。」


うんうん
会場に集まったのはたぶん200人ほどの人たち。
大半が同じ気持ちだったと思う。
なりたくなかった。
でも、確かにギフトをもらっている。。。


医者やスタッフによる出し物やムービーなどが
たくさん準備されたこのイベントを通じて
何度も伝えられたのは
「一人じゃない」


ブレストセンターを率いる山内医師の
この言葉、ぜひ読んでください。
http://survivorship.info/diagnosis.html
患者の気持ちに耳を傾けてきたからこその言葉。
ひとことひとことがしみます。


最後はAIさんのStoryにのせながら、
スタッフからの応援ムービーの後に
あらためて、みんなで合唱。


この歌、ほんとにしみる。
歌にどれだけ、救われてきたか。
どれだけ、心を抱きしめられてきたか。
地球に歌が生まれてから何億年たつだろう。
この世に「歌」があることにただただ感謝する。


サプライズで、AIさん本人から
この会の参加者に向けたメッセージが
ムービーで届けられていました。
ここまで用意するホスピタリティ。
患者さんたちに喜んでもらいたい
たくさん笑顔にしたいの気持ち。


「最高の医療を最良のホスピタリティで」を
掲げる聖路加国際病院は
患者サポートプログラムが多数あります。
http://luke-bc.net/


治療と仕事の両立支援、就労支援、美容支援や
チャイルド・サポートなどなども
(子どもが入院した時、家族が病気になった時の
子どものストレスへの対処を手助けする)

乳がん以外でも
大切な人ががんになった方のためのプログラムもあります。
かかりつけじゃなくても受けることができます。
http://hospital.luke.ac.jp/…/consulation-about-c…/index.html


私は聖路加には精神腫瘍科にしかかかっていないけれど
センター長以下、聖路加スタッフの
患者の病気だけではなく、
病気を持ったこの人のしあわせのために
一人ひとりのスタッフが自分の持ち場を中心に
患者の目線に立ち、やれることの範囲を重ねて
サポートしようとする姿勢を尊敬し、感謝します。


「やっぱり私はがんにはなりたくなかった。」
放射線療法が始まる今日。
お力いただきます、って腹はすわったけれど、
数日前から、何をしようとしても、散漫で集中できない。
一緒にいてくれる人がいるのになぜか寂しかったりもする。


山内医師が上記のページに書かれた
「自分のなかの何かが抜けていく感じ」は
10年間の治療・予防の年月のなかで
これから何度も味わうのだろう。


これが私の人生のSTORY。
ため息ついたり、強がったり、
傷ついたり、傷つけたり
悪態ついたり、感謝したり
泣いたり、笑ったりしながら
自分だけのSTORYを作り続ける。
今日もまた新しい一頁。
AIさんを聞きながらもう少し泣いたら、
笑おう。