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土台を築いたマガトへの感謝

ロッカールームからピッチへと続くプ レーヤーズトンネル。内田篤人は、並列 して出番を待つ相手チームの選手と屈託 のない笑顔で接していた。ブンデスリー ガ第15節、4位シャルケのこの日の相手は 9位ボルシアMG。復活の兆しを見せる 古豪のライバルクラブとの決戦前でも、 内田は日本人らしい謙虚さとフレンド リーな振る舞いを忘れなかった。

だが、試合開始のホイッスルが鳴り響 くと一転、それまでの温厚な青年の表情 は瞬時に消え去り、「勝利のために全身 全霊を傾けるシャルカー」に変身する。 強く、激しく、労を惜しまないシャル カーは(排他的な面を除けば)、“男気溢 れるファイター”の代名詞だ。内田がシャ ルケで右サイドバックのレギュラーをつ かんだ理由。それは、フーブ・ステー フェンス前監督が「アツトは本物のシャ ルカーだ」と認めていたからでもある。

3年目の今シーズン、内田のコンディ ションはとても安定してきた。リーグ戦 もチャンピオンズリーグも先発メンバー から外れることは少なく、ピッチに立て ば信頼に足るパフォーマンスを見せる。 特に目を引くのが、同サイドのジェフェ ルソン・ファルファンとの息の合ったプ レーだ。シャルケ期待の若手であり、内 田の親友でもあるユリアン・ドラクス ラーは「アツトとジェフ(ファルファン の愛称)が右サイドを駆け上がるとゾク ゾクする。ドイツ最高のコンビだよ」と 絶賛する。実際、記者席から見ていて も、“ウシー”が欠場するとファルファンは 元気がないように映る。

今年8月に2015年までの新契約を結ん だ内田には、更なる成長が期待されると ころだが、その点に疑いを持たないの が、日本通のギド・ブッフバルトだ。 ブッフバルトはこう語る。「内田はロ ケット小僧だね。直線コースをグングン と走り抜ける。根性があって一対一に強 い」

内田のシャルケ入団時の指揮官である フェリックス・マガトも「内田はテク ニックに長けている。戦術をよく理解し ているし、走力に優れる」と、内田への 賛辞を惜しまなかった。サッカー界屈指 の頑固者で知られるマガトは、ちょっと でも気に入らない点があれば、たちまち その選手を移籍リストに載せてしまうこ とでも有名だが、彼はこの日本人を大事 に扱った。