12月15、16日に行なわれる第17節を終える とウインターブレイクに突入するドイツ・ ブンデスリーガ。ドルトムントでプレイし ていた香川真司がマンチェスター・ユナイ テッドに移籍したものの、今季も新たに清 武弘嗣と酒井宏樹がドイツにやって来て、 トータル9人(1部)の日本人選手がプレ イしている。もちろん、9人の中には期待 通りの活躍を見せている選手もいれば、不 本意なシーズンを送っている選手もいる。 今季の前半戦を振り返って、現地ドイツで 実際に評価されている日本人選手は誰なの か。ドイツサッカー協会S級ライセンス保 持者で、ブンデスリーガの解説者として活 躍する鈴木良平氏に分析してもらった。
現在最も高い評価を得ているのは、移籍 初年度にもかかわらずニュルンベルクの大 黒柱として活躍する清武弘嗣だ。
開幕からスタメンを確保した清武は、 セットプレイのキッカーとして数々のゴー ルをアシストし、流れの中でも持ち前の ボールキープ力と鋭いドリブルを武器に チャンスメイク。自らも3ゴール(16節終 了時点)をマークするなど、期待通りの活 躍を見せている。
特に、毎試合安定したパフォーマンスを 見せている点が高評価の要因となってい る。これまでトップ下や右サイドでプレイ している清武だが、どちらのポジションで もハイレベルなパフォーマンスを見せてお り、ヘッキング監督とチームメイトからの 信頼も厚い。
現地メディアでも「ミニ香川」という表 現で開幕当初から注目を浴びて、今では チームナンバ-1の露出度を誇っている。 香川がイングランドに去った今、ドイツメ ディアが最も注目している日本人選手は清 武と断言していい。
このままニュルンベルクで活躍し続ける ことができれば、強豪クラブからの引き抜 きの噂が浮上しても何ら不思議はない。お そらく、いくつかのチームが来季の補強選 手として、すでにリストアップしているは ずだ。
清武に続くのは、ブンデスリーガ3年目 となるシャルケの内田篤人だろう。
もっとも内田の場合は、ステフェンス監 督に最初から評価されていたわけではな い。過去に指導を受けたマガト監督やラン グニック監督のときもそうだったが、フィ ジカルの弱さから露呈する守備面の脆さを 不安視されていた。
それでも最近は、移籍当初と比べるとか なり守備面もレベルアップし、フィジカル も強くなった。今シーズンは早々に監督の 信頼を得て、ファーストチョイスの右サイ ドバックとしてプレイしている。
最大の特徴である攻撃参加と精度の高い クロスは健在で、何と言っても右サイドア タッカーのファルファンとのコンビネー ションがいい。ファルファン自身も内田と のプレイを好んでおり、このふたりの縦関 係は今のシャルケに不可欠なパーツとなっ ている。
サイドバックというポジションだけに常 にスポットライトを浴びているというわけ ではないが、現地メディアも安定した内田 のプレイに及第点を与えている。露出は少 なくても、シャルケという強豪クラブでレ ギュラーを勝ち取って、何ら問題なくプレ イしていること自体が、十分に評価されて いる証拠だろう。
今、ドイツ国内での評価が高まる一方な のが、昨シーズンの冬の移籍でシュツット ガルトに加入した酒井高徳。2年目を迎え た今季も、堂々とレギュラーとして活躍し ている。
酒井が評価されている最大の理由は、左 右どちらの足でも正確なキックが蹴れるこ とにある。それもあって、ラバディア監督 は加入当初から左サイドバックのスタメン を張っていた酒井を、今季から右サイド バックにコンバート。選手層の薄い右サイ ドバックの穴を埋めることに成功し、さら に評価を高めた。
また、第16節のシャルケ戦では、酒井が 周囲から厚い信頼を寄せられていることを 証明するシーンがあった。
それは、危険なスライディングをして退 場処分受けた酒井に対する周りの反応だ。 ボビッチGMが酒井に駆け寄って肩を叩い て慰めれば、監督やチームメイトもレフェ リーに向かって激昂し、酒井を擁護した。 そうした光景は、ドイツではほとんど見ら れない。そこから、酒井がいかにチーム内 で重要視されているのかがうかがえた。
日本での報道は少ない酒井だが、フロン トは酒井が日本代表に招集される際には常 に不満を漏らすなど、現地ドイツにおける 評価は日本人選手屈指のレベルになりつつ ある。
6シーズン目を迎えたヴォルフスブルク の長谷部誠も、マガト監督が解任されてか らようやく本領を発揮し始めている。
最近のマガト監督は、選手の獲得や補強 などの人事権に執着し、自分の意に反する 移籍行動などを起こした選手を冷遇するよ うになった。長谷部はその影響をもろに受 けて苦悩の日々を過ごしていたが、その期 間をじっと耐え、我慢したことが、今に なって実を結んだ格好だ。
長谷部が評価されるのは、そうした精神 的な強さがひとつ。そして、労を惜しまず チームに貢献できることと、監督の指示を 忠実に実践できることにある。
現在、指揮を執るコストナー監督はもと もとBチームを指導してきた人物だけに、 そうした長谷部の良さをよく理解してい る。ゆえに、監督交代後は長谷部をすぐに レギュラーに抜擢した。
その後も、感情に流されず、常に冷静な 評価を下す指揮官から、長谷部はスタメン を任されている。そこに、長谷部の評価の 高さが示されている。
シーズン序盤でセンセーショナルな活躍 を見せたフランクフルトの乾貴士も、現地 で評価を得ている日本人選手のひとりだ。
特に、開幕から6戦無敗(5勝1分け) の快進撃を見せたチームの中にあって、乾 のパフォーマンスは出色だった。キレのあ るドリブルと卓越したボールテニックで決 定機を演出し、メディアでも清武と並んで 話題を集めた。
それが最近は、チームの不調とともに乾 自身のパフォーマンスも低下。ここ数試合 の乾は自信喪失気味なので、得意とするド リブルの仕掛けも見られなくなっている。 取り上げるメディアもほとんどなくなって しまった。
海外で活躍する日本人選手は増えても、 乾のように2部で実績を残して1部に這い 上がってきた例は少ない。そこは評価され るべきだし、彼のポテンシャルの高さはド イツでも認められている。それだけに、後 半戦では巻き返しを期待したい。







