幼い頃


僕は黄緑色の風船が

好きだった


焼きとうもろこし


焼きリンゴ


イカ焼きとか

わたあめ


それよりも

何よりも

黄緑色の風船をおねだりした








君が見た夏




暑さも和らぐ夕暮れ時

頬をつたう君の涙を

見ないフリした自分を責めた


気まぐれな心は時に残酷で

何もかも失うまいと思うほど

目を疑うような速度で君を遠ざけた


もう帰らない思い出ばかりを

砂のように掻き集めたとて

慰めにならないことを君は知っている


悲しみを通り越したその先に

7月の風が待っている


君はまたひとつ大人になった

かけがえのないものを手に入れて


光の先へと続く道

歩いて行けばきっと辿り着くはずさ

きっと君も気付くだろう

君が見た夏が幻だってことを


泣き出しそうな空は

憂うつな心を嘲笑うかのように

大粒の涙をばらまいて

また灯火をともすように煌めいた


止まない雨なんてないのさ

泣くだけ泣けば忘れられるさ

そしてまた君が魅せる微笑みは

宝石よりも美しい


風鈴を鳴らす風が心地良くて

ほら懐かしい歌声が聴こえる

絵にも描けないような

優しさを散りばめて


時が過ぎて傷ついたことも

後になれば笑い話に変わる


光の先へと続く道

歩いて行けばきっと辿り着くはずさ

きっと君も気付くだろう

君が見た夏が幻だってことを


人を好きになることが大切で

そしてまた誰かを好きになる

いつまでも忘れないでほしい

君が見た夏が幻だってことを


永遠の幻に終わる

それこそが君が見た夏