今朝のあの電話が切れた後、仕事上の会話も、鴨志田と美香の間にはない
しかし、美香が池田隆二と話をする瞬間には美香に対し痛い視線が投げかけられる
これに、美香は激しい嫌悪感を覚えていたが、露骨に嫌な態度も取れないので
見てみぬ振りをしてやり過ごした。
時刻は昼時、鴨志田は今日に限り、妻の機嫌がよく愛妻弁当を持参している
他にも何名かの社員昼は弁当で済ましている、そしてその中に美香の姿もあった。
会社の10階にある社員食堂へ鴨志田が入ってくる、周囲の同僚と雑談を交わすと
辺りを見回し、開いているテーブルを探している様子である。
そして、そこに鴨志田のベストオブターゲット、美香が今まさに
お弁当を食べようとしていたその時、美香の肩に鴨志田が手を掛けて
「よっ」と声を掛けたしかし、美香の動きが止まってしまうなぜならあの忌まわしい夜が
蘇ってきたからだ、鴨志田の声ではない触れられたその手の感触だけで鴨志田であると
気づいていしまうほど、美香の神経を逆なでしていた、
美香は思わず「止めてください!!」叫び声をあげてしまった
食堂は騒然となった。「な、中西君何を叫んでいるんだ、僕は少し触れてしまっただけじゃないか」
無神経な鴨志田の一言にさらに美香は続ける「そんなフレンドリーな挨拶はいらない!!、あなたのしたことはセクハラですよ、わかってるんですか !!」
鴨志田は黙ってしまった。