「サトコって、なんかすっごく
内部事情とかに詳しいよね~?
ひょっとして、何処かの会社の
関係者の人だったりするの~?」
デッドが、またしても核心に
触れて来るような事を言った
デッド自身は、疑いや探りを入れるような
つもりは全くなくて、きっと本当に
普通に話を聞いていた結果の
素朴な疑問と感想という程度なのだろうが、
俺達にとっては鋭いツッコミ以外の
なにものでもなかった
サトコさんは、目を見開いて
いつもより手をせわしなく動かしながら
話しはじめた
「わ、私は、し、親類に、こういう事を
手掛けている社員の人がいてね
それでモニターやったり、
利用者側の意見を聞かれたり
職場に遊びに行ったりもして…
たまに手伝いもしたりして…
それで、色々と詳しくなっちゃった
かなぁ…?あはは」
(サトコさん、うろたえすぎです…(汗))
「へぇ~そうなんだ~
知り合いにそういう人がいるって
何か羨ましいな…」
デッドは、サトコさんの適当な作り話に
あっさり納得したようだ
「あ、でも、ここには
警察みたいな人?
いるみたいだよ?
個人のもめ事に出て来てくれるか
どうかはわかんないけど
何処かの国が戦争がどうのと
言ってたのもあるし、
なんか物凄い組織みたいなのも
いるようだし~あれは、そいつらを
捕まえる人達なのかな~?」
デッドは、とってもサラリと
凄い話しをしはじめた
「それはどういう事?」
サトコさんは、身を乗り出して尋ねた
「えっ、たまに途切れ途切れに
聞こえてきてた話しってだけだから
詳しい事はよくわかんないよ?
ここで戦争の兵を作るんだとか、
誰か偉い人をどうにかするとか
実際に手を下さずとも
国が取れるんだとか
その実験をしてるとか
そういうのを阻止するために
色々調べてる警察みたいな組織の
人らしいのがいるようだとか、
あと、なんだっけ?
有名な古代文明の名前みたいなの
それを復活させるとか?
そういうの色々あるみたいだよ?
あ、そんなところにノコノコ
飛んで行って捕まったり
何かされたら嫌なので
僕は見に行ったりした事はないから
どんな人とかはわからないからね~?」
相変わらず、軽いと言うか
凄い話なのに、凄そうに話さない
デッドを、俺はなんか不思議に思った
「デッド!君はそういうのを
多く聞いているにも関わらず
なんかやけに落ち付いてると言うか
怖がってないと言うか…それが
なんか不思議なんだけど?」
「え?僕だって最初に聞いた時は、
なにこれ!?って思ったさ~
でも、良く考えたらさ~
現実だって、今実際に
どこかで戦争してるんだし
偉い奴は、欲の塊みたいな
悪い事を裏でコソコソやってるらしいし
マフィアとかわけのわからない組織とか
映画だけの作り物じゃ無く
実在してるわけだし、
僕達が知らないだけでさ、
裏側には、もっと凄い事や凄い人
きっとうじゃうじゃしてるんだよ
それ知ってて、毎日怖がって生きてきた?
関わりさえ無ければ、誰も何とも
思わないのが普通じゃないの?
この世界も、そういう奴らに
既に汚染されてるんだなってのを
知った時は凄くショックだったよ?
でもさ~現実でも、それを
どうにかしようなんて思わずに
他人事で知らん顔してたら、
割と平凡に楽しく生きていけるでしょ?
他所はどうかわかんないけど、
僕達の生まれた国ではそうだよね?
ここだって、変わらないと思うよ~?
第一僕なんかには、考えた所で
どうしようもない事じゃない?
タツヤは、この世界で、
そいつらをやっつけるヒーローにでも
なる予定なのかい?」
「いや、そういうわけじゃないけど…」
俺は、デッドに対して何か
違和感を感じていた
(コイツ、話が軽いっていうのとは
少し違う?なんなんだろう?
言ってる事は、その通り!という
事ばかりなんだが、なんか引っ掛かる
達観してる?それも違う気がするな…
今時の世代との違いというやつか?
あ~もう、なんだろうな…この感じ)
俺は、思い出しそうで思い出せない
言葉のように、なにかモヤモヤ
したものを感じていた。
サトコさんは、険しい顔をして
何かを考え込んでいるようだった
デッドは、何を思ったのか
サトコさんの顔を覗き込んで
囁くように話し始めた
「サトコ、そんなに心配しなくても
他所の国が、裏で何かろくでもないこと
やってるんだな~ってだけだよ~?
そんなの、リアルでも普通に
いっぱいいある事だし、
気にしてたらきりが無いよ~?
ここでは、楽しくなるような事
考えようよ~?
僕が楽しい所連れて行ってあげるからさ」
慰めてるつもりなのか
励ましてるつもりなのか
デッドは楽しそうに?話しをしていた
「そうね…」
そう言いながら、口元が笑ってても
目が笑っていないサトコさんを見て、
俺は、ふと最初の日の事を思い出していた
(「とてつもなくデカイ危険が
あるとわかれば、その時は
即座に撤退するのが賢明…」
サトコさんはどう思ってるんだろうな…)
国同士がどうのとか、国の偉い奴がどうのとか
とんでもなく権力のある裏組織とか
その存在を知った所で、俺達に
どうにかできる話では無い事は、
俺もサトコさんも、わかっている事だった
それでも、現実でだって、
そんなものに遭遇した事は無く
この世界でも、それを見た事も無く、
何の実感も危機感も湧いてこない
というのも事実だった
(別にそういうのを敵に回すと
決まったわけでも無い…
そういう輩には、邪魔しないので
勝手にやっててくれ~で
無視すりゃいいんだろうか?
まだ始まったばかりなのに
俺達の、この先ってどこに…
あれ、なんか頭がふらふらするような
なんか頭が重いような、少し物が二重にみえる…)
「オイっ!タツヤがノンレムに移行する!
限界だ、俺らは帰るからな!」
遠くで蒼の声が聞こえてたような気がしたが、
俺は、もうわからなくなっていた