もう疲れた、もう嫌だ。
頑張ったって何にもなりはしないし、つまらないし、残らない。
結局誰にも認めてもらえない。
今日は放課後に ”おんなの本音” を聞いて(聞こえて) しまったものだけに、どうしようもない脱力感に駆られる。
”おんな”は社交礼儀で約束をするそうだ。今まで知らなかった。
軽く言った事でも口約束でも、約束は約束だと思って今まで守るようにしてきた自分が馬鹿みたいだ。
「・・・、クラスの人ほとんどが知ってると思うんだけどね、・・・・・・・・」
俺は何も知らなかった。
「”男”って、こっちが社交儀礼で言ってる事まで本気で取ってくるのが厄介でさァ。もっとこっちの気持ちも考えろっての。」
「そうだよね。思ってもいないのに言い寄られるのも迷惑だよねぇ~。」
では、一体俺は何のためにいたというのか。翻弄されてきたというのか。
ある男の話をしよう。
その男には長いこと好きな女が居った。
『好きだ』
その気持ちを伝えたくて、自分の事を知ってもらいたくて帰りに誘った。
30分の道のりを二人で歩く。
日を受けて輝く黄金の葉の舞う道を行く。
何ともロマンティックな事ではないか。
男は意を決して誘いを掛けた。
だが、結局断られてしまった。
「そっか・・・。」
急だったし、無理もないかもしれない。また今度誘って・・・。
しばらくして、ようやく一緒に帰る約束を取り付ける事が出来た。
だが、それも悲しい結末を迎える。
・・・彼女は来なかった。
後日、彼女から連絡が入った。
忘れられていた。
それでもめげずにいた。なぜなら、『好き』だから。
しばらくして、学校が長期休暇に入る前日を迎えた。
この時にクラスメイト達は力を結集して男に協力した。
教室には ”男” と ”女” だけが残された。
そしてついに、男は告白をした。
男に子ってこれは一世一代の大事業。
でも、嫌われまいと”女”の意見を優先させるべくしていた。
女は後で返事をするから、今は帰りましょうという。
男は ”女”の言う事だ、それならば、と二人は別々に友と共に自宅へ向った。
一秒が一時間にも思われるほど待った男に突きつけられた現実は 残酷なものだった。
電話越しに女は言う。
「友達として嫌いじゃないけど、恋人としては見れないの。中途半端な気持ちじゃいけないと思うし・・・。
・・・・・・ 告白、嬉しかったわ。 ありがとう。」
”しつこく迫っては嫌われる本(もと)となるだろう。”
斯くいう判断にいたった男はすんなりと引き下がった。・・・、もちろん不本意ではあったのだけど。
次の日、クラスの雰囲気は期待と不安の入り混じった好奇のまなざしで満ち溢れていた。
”男”が入ってきて、 ”男” の失敗を知った。
周りの脱力は言うまでもない。
だが、相愛しなければ成り立たないのが恋愛というもの。 されば、仕方があるまい。
その後、更なる悲劇が待ち受けているとは ”男” の全く予期していない、女の性質に隠されていたものであった。
放課後、男が忘れ物を取りに廊下を通ると 女二人の声がする。
長い事思っているだけあって、”女”の声は自然と判断がつくようになっていた。
「 ・・・・、好きな男、女連れで遊び行くの? いいなぁ。あたしには御呼びが掛かった事ないわ。」
「えぇ~、でも、好きでもない人からの誘いって迷惑なのよねぇ。 それなら下手に行かない方がましなんじゃないの?上手く断るなって結構大変なのよ。」
「そうかもね。 でもさぁ、・・・・・・ 」
ショックだった。
物を取る事も忘れて ただ呆然と立ち尽くした ”男” を探しにきた友が、”男”を引きずるようにしてその場から足早に去った。
・・・、だから男達はこの後に二人の間で交わされることを知らなかった。
「もっと押しが強ければ誘いに乗っても良かったのになぁ。」
「そうよね、もうちょっと強引に 『こいつは俺のものだ』 って感じにさぁ、」
「うわぁ~ それって重度のロマンチストじゃない?」
「「はっはっは !」」
「 ・・・ あとさ、あの時に遊びの誘いって あたしがしたかったんじゃないのに、あたかも あたしが皆を誘ってかのように話がなってるってどうよ? あたしは周りの計画に載せられてただけなのにさ。」