雲はゆっくりと空を流れ、明るい青い空は彼女の瞳に溶け込みます。
空を照らす太陽の日差しが彼女の髪を黄金に煌めかせます。
萌える庭には小鳥が集い 朝の日差しを受けてさえずります。
──平和。
平和は退屈でした。
ミヤコが外に出る事を認められるのは付き添いのものがいるときだけ。
しかし、今日は家の者が出払ってしまい、口の悪い、だが根のいい女官と気の弱い料理見習いが残されているだけでした。
─まるで、籠の中の鳥だわ。
そして、溜息をついて窓を閉じました。
それが合図であったかのようなタイミングで女官が入ってきて言いました。 「お茶はいかが?」
ミヤコの返事を待たずして テーブルの上にスコーンと紅茶の入ったティーポットを置くと、ジャムが~ っと言いながらキッチンに引き返していきました。
その様子にミヤコは目を見開いていることしかできませんでした。
愛人として迎え入れられて早一週間。
ようやく部屋の間取りやこの家特有のルールを覚えたばかりで、使用人の名はまだ覚えていませんでした。
自分ですらそうなのに新しく入ってきた使用人(彼女はつい二日前に入ってきた)は 堂々とキッチンを物色し、見ず知らずな(はずである)自分とお茶をしようと用意している。
ここではお茶(ブレイクタイム)は10時と3時に必ず出る。
もちろん、それを用意するのは使用人の役目だ。
それは分かってはいたが…。
何が目的だろう?
冷めた考えしかできぬ自分に失望しながら ミヤコは相手の出方を伺っていた。