〈想い出すのはいつもあなたのこと〉


もう二度と届かないけれど 
想い出すのはいつもあなたのこと

あなたを想い出す度に
僕の心に 雨が降る
あなたの茶色い目
やさしい眼差し
いっしょに歩いた 横須賀の路
いっしょに腰掛けてタバコを吸った 神社につながる細い階段
いまとなっては 幻のよう
突然終わった 幻のようだ

はじめて僕と会った時 あなたは泣いていた
僕は笑っていた
突然始まった恋
突然終わった愛
あれから もう5年ほど経つ

僕は相変わらず 作家になりたいと思っている
ペンで新しい世界をつくろうと思っている
今、あなたは何をしているの?
実は知っている Facebookの投稿

喜びの時間よりも 悲しみの時間が長い僕の人生
苦しみの時間のほうが長い僕の人生
今日も 吸い込むタバコの煙り 
痛みを噛み殺す
憤りと悲しみを 煙りと共に天に捧げる!

天が僕にどんな仕打ちをしようと 僕は受け止める
運命から逃げはしない
次はどんな仕打ちが待っているのか?
僕は受け止める
運命への畏怖と愛 そして諦めをもって

ドブ板通りに面したホテルであなたが履いていた白いスリッパ
傷が沢山ついた白い足
今までの過酷な人生を 代弁しているかのようだった
僕と同じくらい傷ついて生きてきたのがわかった
僕は痛みを感じない人間は愛せない

この世はとても複雑な法則によって成り立っている
その全てを 知ることはできない
その切れ端でもいいから 感知して
形にしたい

くだらない人間は何をしたってくだらないんだ 
そんな奴等はどうだっていい
勝手にしやがれ!
このバカタレ 勝手にしやがれ!

僕はそれまで 人間を好きになったことがほとんどなかった
人間が嫌いで嫌いで仕方なかった
自然だけを愛していた
自然のやさしさ 厳しさ
醜さ 美しさ
全てを愛していた
しかし、あの時から人を愛するということを知った
死によって黒く塗りつぶされていた僕のキャンバスに色がついた
リアルに生きる喜びを見いだせるようになった

僕は当分忘れられなそうだ 
目を閉じる度に 残像が浮かんでくる

二度と届かないけれど
想い出すのはいつもあなたのこと


5.17.2016