ポランスキーの「戦場のピアニスト」を再見
劇場公開の時に観て、感動した。昨日、何年か振りにDVDで再見した。
スピルバーグの「シンドラーのリスト」を観た後、この映画を再見したくなった。
ロマン・プランスキーは饒舌ではなかった。寡黙といていい。演出やキャメラのオペレーションが抑制されている。決して華麗ではない。
しかし静かにクレーンで上昇し、破壊されたワルシャワの街並みを映し出す場面など、息を潜めて見る気配を感じさせる。固定ショットも多い。エドリアン・ブロディ演じるシュピルマン(ピアニスト)の隠れてる部屋から見下ろされたシーンの時間的な推移の中に、街が戦火で荒廃してく様が描かれる。決してドラマティックでもなく、鼠のように逃げ回る。生きるとは喰うことだと言わんばかりに。
ポランスキーといえば、「水の中のナイフ」以来、テクニシャンだった。
彼にとって両親の悲劇を追体験するこの映画の製作過程は、苦痛の伴う場面が多々あったに違いない。
しかし七十歳台にして、彼は歴史の悲劇を映画に定着した。
ショパンの音楽がここでは世界言語となっている。
悲しみは語りえない。
しかし語らなければ、後世に残せない。
死して語りえない者たちが、如何にして殺されていったかを、語る執念がそこにはある。