映画「ミュンヘン」
映画は対岸にマンハッタン島が望めるラストショット出終わる。スピルバーグのクレッジットが出る。
Derected by のDの丁度上の位置に、9.11の標的となったワールド・トレーディング・センターが見える。
スピルバーグの欠点を挙げるとすれば、あまりに映像表現が巧すぎるという一点か。
固定ショット、トラヴェリング・ショット、クレーン、映像のLOOK、その統一感など、完璧に近い商品といえる。快適に観客はドラマをみれる。極上の演出術といえるだろう。
スピルバーグに比べれは、ヒッチコックの映画の方がむしろ「芸術的」と云える。ヒッチコックは「視覚」との対話が創作のコアにあった。スピルバーグの映画では初期にあったその映画表現上の試みが近作では後退し、極上の絵の具と華麗な筆致でキャンバスを描ききる、そんな感じがある。
素晴らしい才能と素晴らしい主題への挑戦であり、欠点をあげつらう意図は全くない。
あまりに商品として完成されてる映画を観てる驚きがある。
ジョン・ウィリアムスの音楽もまた同様だ。
ある意味で、ハリウッドの最良の到達点がここにある。
困難な政治的テーマを、非政治的に扱えるスピルバーグは自らその力を興行で成功することにより勝ち取っている。