U・ボート DAS BOOT(1981)を再見して
BSでやった「U・ボート」をHDDレコーダに録画してたので、先程再見した。
やはり素晴しい傑作である。
ウォルフガング・ペーターゼン監督のこの映画はアカデミー賞6部門にノミネートされた。(監督・脚本・撮影・音響効果・編集・録音の6部門。)外国映画では偉業とされている。そしてペーターゼンはハリウッドに進出した。
この映画の最初の印象は、Uボートが潜行する時に、狭いチューブのような船内を艦首に向けて乗員が走っていきその重量で急速潜行する描写であった。広角レンズをつけたキャメラが素晴しいスピードで、船員たちの後を追跡する。この描写は繰り替えし描かれる。
撮影もハリウッド流の贅沢な照明ではなく、Uボートの照明器具を光源としたようなリアリズムで設計されている。ヨーロッパの色調の風合い。色はちょっとビスコンティの映画を想起させた。手持ち撮影の臨場感は、S・キューブリックの「博士の異常な愛情」のB52の機内で火災が発生した時の描写を想起した。
戦争の中で生き、そして死んでいったドイツ人。4万人のうち3万人が戦死したというUボートの乗員に対して、感情に溺れることなく写実的に過酷な現実の戦争を描いた。死者をして語らしむる厳粛な佇まいがこころに響く。
日本映画の多くの戦争映画は、比べるに値するだろうか?
艦長の風貌と行動に、プロフェッショナルの美意識がある。
どんなに過酷な事態でも航海日誌に向かう姿は、「硫黄島からの手紙」の渡辺謙に引き継がれた。
仕事する男は、こうありたいものだ。たとえ虚しく全ての営みが失敗に帰するとしても・・・。