照りつける太陽。焼けるアスファルト。
ここに、暇をもて余している1人の男性がいた。彼は、大学生。
しかし、暇をもて余している、と表現するのは、本当は少し違いまして…。
「なんだ?此処。
図書…喫茶ぁ!?
漫喫の間違いじゃないの。
まあ、暑さ凌ぎにちょっと入ってみるか。」
店内は、部屋がしっかりと区切られており、完全密室となっているのが、外からでも分かった。
「いらっしゃいませ。」
明るい笑顔で、店員が挨拶をしてきた。あまりにも、笑顔が可愛い今時の女性の店員だったので、男性大学生は、
「お、お、おおぅ。」
思わず、ちょっと拍子抜けたような返事をしてしまいました。
早速店員が
「当店のご利用は、初めてですか。」
と、男性大学生に伺いました。
男性大学生は
「はい。この図書喫茶とは、何ですか?」
と、店員に疑問をぶつけました。
店員「はい。ここは、本を貸し出して、読んでもらう店です。当店は、ドリンク代以外は、いただきません。ただし、ドリンクの注文は、必ずしていただいてます。時間は、最大3時間までとなっております。」
男性大学生「ちょっと待ってください。3時間では本は読みきれないでしょう。」
店員「その点は、問題ありません。みなさん、3時間以内に読まれています。」
男性大学生「それは、そっちの勝手な判断でしょ。絶対みんながそうとは限らないでしょう。
まあ、いいです。読まないと分からないことでしょうし。」
店員「では、当店のご利用されるということで、よろしいですか?」
男性大学生「はい。」
店員「では、5番の部屋へどうぞ。
それと、こちらが本になります。」
男性大学生「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。
本は、えらべないんですか。」
店員「それは、本を広げていただければ分かります。ただし、部屋の中でお願いします。
今ここで、広げても“見れない”ですから。」
男性大学生「見れない?」
店員「広げていただければ分かります。」
男性大学生は、その場で本を広げました。
が、中は真っ白です。タイトルも何も、もじ一文字も載っていません。
男性大学生「あんた、何を渡してるんですか?ナメてるのか?」
店員「では、部屋の中で開いてください。」
男性大学生「ふざけんな!バカにするのも、大概にせえよ!」
店員「では、私のあとについてきてください。」
そういうと店員は、5番の部屋のドアを開け、中に入っていきました。
男性大学生も、仕方なくあとをついていきました。
すると、店員は男性大学生に本を開いたままで、渡しました。
男性大学生「あ……。」
部屋に入ると、文字が浮かんできました。
男性大学生「ブラックライト対応……ではないな。普通の蛍光灯だし。
どうなってるんだ?」
店員「すぐにお飲み物をお持ちしますので、まだ注文を伺ってませんでしたね。」
男性大学生「あ、あぁ。コーラで。」
店員「かしこまりました。」
男性大学生は、どうにも訳が分からず、とりあえず貸してもらった本を読むことにしました。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。