妄想劇場~なないろの図書喫茶① | 気まぐれバードのキマグレコ

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何でも綴りたいことを綴っています。

照りつける太陽。焼けるアスファルト。


ここに、暇をもて余している1人の男性がいた。彼は、大学生。
しかし、暇をもて余している、と表現するのは、本当は少し違いまして…。


「なんだ?此処。


図書…喫茶ぁ!?


漫喫の間違いじゃないの。

まあ、暑さ凌ぎにちょっと入ってみるか。」


店内は、部屋がしっかりと区切られており、完全密室となっているのが、外からでも分かった。


「いらっしゃいませ。」
明るい笑顔で、店員が挨拶をしてきた。あまりにも、笑顔が可愛い今時の女性の店員だったので、男性大学生は、


「お、お、おおぅ。」


思わず、ちょっと拍子抜けたような返事をしてしまいました。


早速店員が
「当店のご利用は、初めてですか。」
と、男性大学生に伺いました。


男性大学生は
「はい。この図書喫茶とは、何ですか?」
と、店員に疑問をぶつけました。


店員「はい。ここは、本を貸し出して、読んでもらう店です。当店は、ドリンク代以外は、いただきません。ただし、ドリンクの注文は、必ずしていただいてます。時間は、最大3時間までとなっております。」


男性大学生「ちょっと待ってください。3時間では本は読みきれないでしょう。」


店員「その点は、問題ありません。みなさん、3時間以内に読まれています。」

男性大学生「それは、そっちの勝手な判断でしょ。絶対みんながそうとは限らないでしょう。


まあ、いいです。読まないと分からないことでしょうし。」


店員「では、当店のご利用されるということで、よろしいですか?」


男性大学生「はい。」


店員「では、5番の部屋へどうぞ。


それと、こちらが本になります。」


男性大学生「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。


本は、えらべないんですか。」


店員「それは、本を広げていただければ分かります。ただし、部屋の中でお願いします。
今ここで、広げても“見れない”ですから。」


男性大学生「見れない?」


店員「広げていただければ分かります。」


男性大学生は、その場で本を広げました。
が、中は真っ白です。タイトルも何も、もじ一文字も載っていません。


男性大学生「あんた、何を渡してるんですか?ナメてるのか?」


店員「では、部屋の中で開いてください。」


男性大学生「ふざけんな!バカにするのも、大概にせえよ!」


店員「では、私のあとについてきてください。」


そういうと店員は、5番の部屋のドアを開け、中に入っていきました。
男性大学生も、仕方なくあとをついていきました。


すると、店員は男性大学生に本を開いたままで、渡しました。



男性大学生「あ……。」


部屋に入ると、文字が浮かんできました。


男性大学生「ブラックライト対応……ではないな。普通の蛍光灯だし。


どうなってるんだ?」


店員「すぐにお飲み物をお持ちしますので、まだ注文を伺ってませんでしたね。」


男性大学生「あ、あぁ。コーラで。」


店員「かしこまりました。」

男性大学生は、どうにも訳が分からず、とりあえず貸してもらった本を読むことにしました。







※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。