妄想劇場 ~少女の夢芝居⑤~ | 気まぐれバードのキマグレコ

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何でも綴りたいことを綴っています。

文化の日の劇も、見事大成功。ゆみちゃんは、ますます表現に自信をつけました。


そして、おじさんに思い切ってあることを、言うことにしました。


ゆみちゃん「おじさん、話があるの。」


おじさん「どうしたんだい、ゆみちゃん。そんな、真剣な顔して。」


ゆみちゃん「おじさん、私に一度紙芝居をさせてください。」


おじさん「ゆみちゃん、そう急ぎなさんな。寒い時期は、おじさんは紙芝居はしないんだよ。おじさんは基本的に、広場に子供を集めてしかしないから。


寒い時期にすると、子供たちも風邪ひくしな。」


ゆみちゃん「じゃあおじさん、来年の春に私に紙芝居をさせてください。



それならいいでしょ。」


おじさんは、しばらく考えてから

「よし、やってみるか。」


と、優しく微笑みながら、ゆみちゃんに応えました。

その時のゆみちゃんの喜びようといったら、ありませんでした。


それから………


幾年も経ちました。


おじさんは、かなり体も弱り、今はもう紙芝居はしていません。


そう、テレビの普及もあり、ゆみちゃん以外には、弟子もとりませんでした。


しかし、おじさんは毎日新聞をチェックしては、テレビを見ていました。


そう、立派に声優として活躍している、ゆみちゃんが声を担当しているアニメを見ながら、聞きながら、微笑んでいました。


エンドロールに出てくるゆみちゃんの名前に………。









※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。