文化の日の劇も、見事大成功。ゆみちゃんは、ますます表現に自信をつけました。
そして、おじさんに思い切ってあることを、言うことにしました。
ゆみちゃん「おじさん、話があるの。」
おじさん「どうしたんだい、ゆみちゃん。そんな、真剣な顔して。」
ゆみちゃん「おじさん、私に一度紙芝居をさせてください。」
おじさん「ゆみちゃん、そう急ぎなさんな。寒い時期は、おじさんは紙芝居はしないんだよ。おじさんは基本的に、広場に子供を集めてしかしないから。
寒い時期にすると、子供たちも風邪ひくしな。」
ゆみちゃん「じゃあおじさん、来年の春に私に紙芝居をさせてください。
それならいいでしょ。」
おじさんは、しばらく考えてから
「よし、やってみるか。」
と、優しく微笑みながら、ゆみちゃんに応えました。
その時のゆみちゃんの喜びようといったら、ありませんでした。
それから………
幾年も経ちました。
おじさんは、かなり体も弱り、今はもう紙芝居はしていません。
そう、テレビの普及もあり、ゆみちゃん以外には、弟子もとりませんでした。
しかし、おじさんは毎日新聞をチェックしては、テレビを見ていました。
そう、立派に声優として活躍している、ゆみちゃんが声を担当しているアニメを見ながら、聞きながら、微笑んでいました。
エンドロールに出てくるゆみちゃんの名前に………。
完
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。