あの日以来、ゆみちゃんは夏休み中、毎日のように広場へと通っていました。
しかし、ある日。
「あれ?おじさん、今日は遅いなあ。」
いつもの時間より、1時間くらい遅れておじさんが広場にきました。
しかし、ゆみちゃんの目には、少し疲れているように映りました。
紙芝居が終わったあとに、ゆみちゃんはおじさんのもとに、歩み寄りました。
ゆみちゃん「おじさん、しんどいの?」
おじさん「ゆみちゃん…。
そんな目でみつめられちゃあ、嘘はつけないな。
ちょっとおじさん、体調が悪くて。来るのが、しんどくなってきたんだ。
」
ゆみちゃんは、おじさんの顔を覗き込み、ひとつお願いをしました。
ゆみちゃん「おじさん、ひとつお願いしていい?」
おじさん「なんだい?」
ゆみちゃん「あのね……
あのね、紙芝居、教えてって言ったら、怒る?」
おじさんは、少し困惑しました。
暫く間をおいてから、口を開きました。
おじさん「紙芝居、難しいよ。」
ゆみちゃん「あのね、私ね、おじさんに紙芝居教えてもらって、いつかやってみたいと思ってたの。」
おじさん「そうか…。
よし、分かった。教えてやる。」
ゆみちゃん「やったー。」
こうして、ゆみちゃんとおじさんの、紙芝居稽古が始まるのでした。
※この物語は、フィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。