むかしむかし、とある村は日照り続きで困っていました。村人は、どうしたものかと悩んでいると、雨乞いをしようとお供えものをし、お祈りを始めました。
一方、雲の上でも悩んでました。
雨の神様です。神様は、涙を流し雨を降らすのですが、どういうわけか最近は涙が出ません。
困った神様は、下のものを呼びました。
下のもの「お呼びでしょうか。」
神様「最近、涙が出ないせいで、人間に迷惑をかけている。なので、何か涙が出るものを用意してほしい。」
下のもの「分かりました。」
そういうと、暫くして下のものが、帰ってきました。
下のもの「これをどうぞ。」
神様「うむ。」
神様「………これは、確かに涙が出るけど……、これは違う。」
下のものが持ってきたものは、わさび入りのお寿司でした。しかし、涙は出るけど流すほどではありませんでした。
神様「何か違うものを持ってきてくれ。」
下のもの「次は、大丈夫です。」
そういって、また暫くして下のものが、帰ってきました。
下のもの「今度は、大丈夫です。」
神様「うむ。」
そういい、下のものが本を読み始めました。
しかし、途中で神様が寝てしまいました。
神様「駄目だ、感動するまでに寝てしまう。何か、違うものはないか。」
下のもの「では、次のものを…。」
そして、また暫くして下のものが、帰ってきました。
下のもの「これは、どうでしょう。」
神様「今度は、大丈夫だろうな。」
下のもの「はい。
では、失礼します。」
神様「いてててて!」
下のものは、ちょっとした道具で、神様を捻りました。
神様「コラ、これも一時ではないか。
もういい!自分で何か探す。」
下のもの「すみません、力になれなくて。」
しかし、神様は自分で探すとは言ったものの、何がいいのか分かりません。
神様は、なぜ突然涙が出なくなったのかも、分かりません。
思い返してみても、やはり原因が分かりません。
うろうろしながら、悩んでいましたが、時間だけが過ぎていきます。
無理矢理泣こうとしても、当然涙は出てきません。
神様「うーむ、どうすればいいのじゃ。
うーむ……。」
ほとほと困っていると、一人の下のものが、耳打ちをしました。
神様「しかし、それでのう。」
下のもの「でも、やってみる価値はあると思います。」
神様「うーむ………、あまり気は進まんがなあ。」
しかし数分後、神様は号泣し雨を降らすことが出来ました。
そのあることとは、一体なんだったのか。
実は、神といえど、家族はいます。神様は、過去に自分の子供を亡くすなど、辛い経験をしました。
それを思い出してみてはと、一人の下のものが提案してきました。
あまり、過去を振り返りたくない神様は、言われたとおりに想い出を思い出していました。
楽しい日々を思いだすうちに、次第に涙が溢れだし流れました。
こうして、日照り続きだった村に、雨がもたらされ、大飢饉は免れました。
雨の神様も、これで一安心しましたとさ。
-完-
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。