旅を始めた、ペペ。しかし、どちらに行ったらいいのか、手掛りが何もありません。そう思ったペペは、枝を広い空へ放り投げると、とがった方は東を指しました。
「とりあえず、東へ行こう。」
東の方へ歩き出しました。歩けども、歩けども、何もありません。途中、大きな岩があり、岩かげで休もうとしたときでした。
「ブァッフォ、ブァッフォ!」
ふと気が付くと、目の前に2メートルくらいの大きな獣が、こちらに狙いをつけているではないですか。
突進をかわしながら、どうしようかと考えていた。
邪悪なものではないので、呪文で殺してしまうのもどうかと思い、こころ苦しいがあることを思い付いた。
ペペは、ギリギリまで引き付けると、スッと身をかわした。
「ドカーーーン!」
大きな音と砂埃が激しく舞った。獣は、岩に頭から突っ込んでしまった。声をあげる間もなく、大きな体を横たわせた。
気を失っただけなのか、死んでしまったのかは分からないが、窮地は脱した。
「ごめん。」
こころの中で、そう言いながらペペは、その場を去った。
暫く歩くと、一人の少女が辺りをキョロキョロと、何かを探しているようだった。
「どうかしましたか?」
ペペは、少女に話しかけた。
少女「あ、すみません。実は、先程獣に追われて必死に逃げてたんですけど…。」
ペペ「(こころの中で)さっきのやつか。」
少女「その時に転んでしまって、大切な指輪が指から抜けてしまったんです。」
ペペ「この辺りだったの?」
少女「はい、この辺りに間違いないんです。砂地に足をとられてしまって。」
ペペ「じゃあ、砂に埋まってるかもしれないね。一緒に探してあげるよ。」
少女「すみません。」
暫く2人は、指輪を探していました。すると、
「あっ、あった!やっぱり、砂に埋まってたね。」
と、ペペが見つけ出しました。
少女「ありがとうございます。あのお名前は。」
ペペ「僕、ペペと言います。君は?」
少女「私は、サーラ。もしかして、あなたは…邪悪なものを倒す旅をなさっているのでは。」
ペペ「え?どうして分かるんだい。」
サーラ「違うの。私のお婆様は占い師で、私も邪悪なものを倒す運命を背負っているって。それで、私を“一人前”にしてくれる人を探していたの。邪悪なものを倒す旅をしている人をね。」
ペペ「“一人前”って、どういうことなんだい?」
サーラ「それは、今はまだ言えないの。それを告白するのは、それが出来る人にしか出来ないから。」
ペペ「何だか分からないけど、事情があるみたいだね。もしよかったら、一緒に旅しない。君も僕と、目的は同じなんだろ?」
サーラ「ええ。一人より二人の方がこころ強いしね。」
ペペは、サーラという少女に出会い、旅を続けることになりました。
果たして、サーラの言う、“一人前”の意味は一体何なのでしょうか?
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。