妄想劇場 ~ベンチ⑥~ | 気まぐれバードのキマグレコ

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それからの彼は、彼女に近付きたいために、会社でも電車の中でも、本を読んでいた。


そんなある日。彼は、思いきって彼女に告白した。


意外にも、彼女はあっさりと承諾したのには、彼は驚いた。


それから2人は、実際に交際を始めた。最初は、ぎこちなく2人とも何をしたのか、覚えていなかった。
ただ、何処へ行ったのかだけしか覚えていなかった。

そんなぎこちない2人だが、ある日彼女がふと口にした。


「ねぇ、本当は趣味じゃないでしょ。読書。」


彼は、これ以上誤魔化しても仕方がないと思い、打ち明けた。


彼「ごめん。実は君に近付きたくて、本読んでたんだ。ごめん。本当は、車が好きで、たまに休みに走りに行くんだ。」


彼女「それなら、それでいいのに。」


彼「ごめん。遠回しなことして。不器用でさ、上手く出来ないんだわ。」


彼女「別に、不器用だっていいじゃない。素直な方が絶対いいし。」


彼「ごめん!」


彼女「じゃあ、今度、景色の良いところへつれてってくれる?それで、許してあげる。」


彼「う、うん、分かった。じゃあ、今度の日曜日に。」


彼は、こころの中で、ガッツポーズをしていた。


そして、それがきっかけなのか、2人は距離がグッと縮まった。





※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。