次の日、天使はジェニーと一緒に、病院へ行きました。見るもの見るものが、初めてのものばかりなので、ずっと辺りをキョロキョロしてました。
そして、色々と検査をされました。当然、悪いところなんてありませんから、どこにも異常はありません。
医者「外因性の記憶障害では、ありませんね。お子さんに何かショックとなる出来事は、ありませんでしたか。こういうことを言うのもなんですが、例えばもの凄く悲惨な現場をたまたま目撃したとか。」
ジェニー「うちの子に限って、まさか。」
医者「いえ、あくまでも例え話ですから。
私の知り合いに、カウンセリングを専門的にやっている精神科医がいますので、もしよければ紹介しますが。」
ジェニー「はい。よろしくお願いします。」
医者「では、明日一度そちらに行ってください。連絡をしておきますので。
それと、これがそこの住所です。」
ジェニー「先生、どうもありがとうございました。」
家に帰り、ジェニーは天使にこう言いました。
ジェニー「エルム、明日から学校は暫く休みなさい。でも、もうすぐしたら冬休みだし、クリスマスだしね。」
天使はこころの中で
「クリスマスは聞いたことがあるぞ。確か、キリストとかいうやつが産まれた日だったっけ?ユダに裏切られるんだったよな。」
と思いながらも、ジェニーの話を聞きながら、疑問に思ったことがありました。
ジェニー「クリスマスも忘れた?」
天使「キリストが産まれた日でしょ。」
ジェニー「そうよ。その日は、みんなでお祝いするのよ。」
天使が引っ掛かったのは、この言葉だった。お祝い。自分のことじゃないのに、なんでお祝いなんかするのだろう、と。
天使「クリスマスって、具体的には何するの?」
ジェニー「そのことは、忘れたのね。そうね、プレゼントを買って交換したり、ケーキやチキンをたべたりするの。」
天使「それがお祝いすることなんだ。」
とは言うものの、今ひとつピンときません。でも、天使は、「そのときになれば、何か分かるか。」
とだけ、思っていた。
翌日、ジェニーは学校へ事情を説明し、暫く休学させて頂くことにしました。
それから、カウンセリングに行き、家に帰ってきた時でした。
女の子「エルムちゃん。エルムちゃん。」
天使は、名前の呼ぶ方を向きましたが、当然分かりません。
女の子「大丈夫よ。私は、ケニー。あなたのガールフレンドよ。」
ジェニー「ありがとう、ケニーちゃん。でも、もう少し時間くれるかしら?」
ケニー「分かったわ、おばさん。でも、私も色々と力になりたいの。また、来てもいいかしら?」
ジェニー「ええ、いいわよ。でも、一週間は待ってちょうだい。」
ケニー「うん、分かったわ。またね、エルムちゃん。」
天使は、これから人間の色んな事を知っていくのでした。
※この物語はフィクションです。登場人物、出来事は実際とは関係ありません。