まだ信じられない天使は、もう一度確かめるために、あることを試しました。
天使「………………………。やっぱり駄目だ、力まで失ってる。」
天使は、その辺に転がっていた石を、特殊な力で浮かせようとしました。が、天使という意識以外は、完全な人間になりました。
天使「俺はもう、駄目なのか?戻れないのか?。」
何度も何度も、自問していました。傍らにいた、女の人の事なんて、すっかり忘れてました。
女の人「ねえ、エルム。本当に、大丈夫?明日、病院に行こう。」
声をかけられて、天使はハッとしました。
天使「(仕方ない。この人の子ならば、帰れるまで“振り”をしとくか。)
ママぁ。」
女の人「ん?早く帰ろう。」
天使「実は、お…いや、僕何も覚えてないんだ。だから、名前呼ばれても、分からなかったんだ。」
女の人「!!!……………………ほ、本当なの!何処かで頭をぶつけたの?」
天使「よく分からないし、覚えてないよ。」
女の人「明日、学校やすんで、絶対に病院に行くからね。」
天使「うん。(病院って何だろう?)」
さあ、これから天使は、人間の生活をするようです。上手く行くのでしょうか。
天使「ねえ、僕っていま歳はいくつなの?」
女の人「11歳よ。エルム、本当に何も覚えてないの?
あっ、ごめんね。大丈夫、きっと何とかなるから。」
天使「うん、別に大丈夫だよ。ねえ、ママの名前も分からないの。」
女の人「ママの名前は、ジェニーよ。」
天使「ありがとう、ジェニーママ。(ふう、何だか疲れるなあ。人間の振りをするのも。まあ、そのうち慣れるか。)」
何とか天使は、人間界にとけこもうとしていました。
※この物語はフィクションです。登場人物、出来事は実際とは関係ありません。