数分前、大天使様に怒られて、人間界に放りこまれた、哀れな天使です。何故、怒られたかと言いますと、この物語に出てくる天使。まだ、子供で少しやんちゃが過ぎたんです。それで、その罰として天上界から放り出され、人間界に放りこまれたのです。
天使「あ~あ、何だよ。杖に落書きしたくらいで、放り出さなくてもいいじゃないかよ。」
悪戯は、勿論それだけではありません。今までの積み重ねもあります。しかし、遂に大天使の杖にまで落書きをしてしまい、大天使の逆鱗にふれてしまいました。
天使「しっかし、人間界って噂には聞いてたけど、ほんっと狭いし汚いなあ。」
とぼとぼ歩いてるうちに、おなかがすいてきました。
天使「はらへった~。………………
おおっ、何かいい臭いがしてきたぞ。」
いい臭いのする方に、一目散に走り出しました。
天使「ああっ、これか。いい臭いがしてたのは。どれどれ。……………
イテッ!何すんだよ!」
何処かの店に行ったらしいのですが、当然人間界のルールなんて知りません。
店の人「坊や。お金は…。持ってないのかい。おうちの人は。誰かと来てないのかい。」
天使「お金ぇ~?なんだそれは?」
店の人「何言ってるのあんた。いい加減にしないと、警察に連れていくよ。」
天使「警察ぅ~?何なに?」
店の人「ハア~、あきれた。最近の万引きの手口なのかしら?
いいから、店から出ていきな!」
そう言われ、無理矢理店から追い出されました。
天使「何だよ、人間って愛想も何もない生き物なのかよ!誰が、人間作ったと思ってんだ。
あ~あ、はらへったなあ。」
そしてまた、とぼとぼと町をあちらこちらと、徘徊し始めました。
女の人「…ム。…ルム
エルム、エルム…
エルム!こんなところに居たのかい。心配したんだよ、早く家に帰って晩御飯だよ。」
女の人が突然天使に向かってこう言いました。
天使「何だよ、いきなり。俺は天使だぞ。」
女の人「はあ?何訳の分からないこと言ってんの、この子は。変な友達と付き合って、変なこと覚えたのかい。」
天使「何が変だ。変なのはあんたら人間じゃないか。それに、俺の名前はな……
あれ?思い出せない。何でなんだ?
ああっ!」
ふと、ガラスに目をやり、映った自分を見て、驚きました。
天使「あ、あれ?つ、つ、翼がな、な、ない~~~!そ、そ、それに、誰なんだ、こいつは!格好から何から何まで、に、に、人間じゃねえか!
で、でも、天使という意識だけはあるみたいだ。
どうなってるんだ?
お、俺は、人間としていなきゃいけないのか?天使には戻れないのか?」
何がなんだか分からなくなり、天使は完全にパニック状態でした。
※この物語はフィクションです。登場人物、出来事は実際とは関係ありません。