3)FORMAT


組毎に担当のDJが居るようにJUMP OFF MIXという番組にもホストは存在する。公式にはDJ FELLI FELとDJ ERIC D-LUXと聞いている。そして裏方にインターンとしてPOWER106のDJ達に可愛がられている若いNICK FERRERというDJが細かいメールのやりとりなどを担当している。ただ実際の放送では土曜日にディスクジョッキー(喋り専門)であるMANDO•FRESKOが担当していた。その辺の段取りについてはあまり自分には関係ないので特に言及はしなかった。

話を戻そう。まず最初にサンプルをFELLI FELに提出し、OKが出なければ何も進まない。また前回の「2)」でも述べたように、そこには誰の案件かという事も大切な要素となる。今回は既にJUMP OFF MIXへ何人か送り込んでいるECHOの案件である。何のネットワークや紹介もなく、誰も知らなければここでまず落選する。実は以前、違う角度からトライした時には「そうそうたる面子が順番待ちの状態で、今はかなり厳しい。半年先になるかもしれない。」という理由から一発で却下された。サンプル提出にも辿り着けなかったのである。

ここでブログ読者に自分の少ないながらも人生経験として伝えておきたい事がある。駄目と言われてすぐに諦めてはいけないという事を自分が今回再確認した事である。自分自身も実際は断られた言葉が言葉だったので諦めかけていたのも事実だが、ECHOの誘いという事を受け、角度を変えればあっさり通る物事もあるんだと、あっさり引き下がるべきでもないなと再認識した。世の中はこういった事実が無数にあるという事をみんなにも覚えておいてもらいたい。

軽いサンプルを提出した数日後、NICK FERRERより正式にJUMP OFF MIXにトライさせてもらえるという許可が下り、JUMP OFF MIXをどのように制作すれば良いかというフォーマットがメールで送られてくる。過去の経緯からすると、これだけでも嬉しかった事を覚えている。しかし、そこには以外と色々な規則があり、結構ミックスの妨げになるような項目もある。言える範囲で紹介しておこう。


- 22分と12分の2種のミックスを必要とする。それらの間にCMを入れるからである。また22分ミックスでは11分地点、12分ミックスでは6分地点からそれぞれ30秒間のトークブレイクを入れなければならない。そこにはボーカルが入っててはいけないのである。またこれが厄介で、数秒のズレは許されるものの、トークブレイクまでの前半はそれを意識して曲を構成していかなければならない。これは非常に面倒臭かった。

- また、22分ミックスに関してはヒップホップを中心に構成しなければならない。なら12分ミックスは自由にやってよいのか?と思う。しかし、後にこの項目は自分には適用されない事に気付く。22分ミックスさえヒップホップベースで作れば後は自由というのが許されるのはPOWER106でも顔の知れた連中のみである。

- NO ERIC EDWARD DROP.日本でも彼のジングル(ドロップ)を持っているDJが居ると思うが、ラジオでお馴染みのあのシブい声の人である。アメリカのDJもDJの証とばかりにERIC EDWARDさんのドロップを愛用している人は山ほど居る。ERIC EDWARDさんはPOWER106やHOT97だけでなく、アメリカ全国のラジオステーションから多くの依頼を受ける声のスペシャリストである。アメリカ人なら皆が知っている声でもある。しかし、JUMP OFF MIXでは概要は知らないが彼のジングルは禁止。よって、本編では以前録ってもらったPOWER106のディスクジョッキーで、先日来日も果たしたYESI ORTIZのジングルのみとなった。

- ラジオバージョン厳守。これは当然分かっていた。たまに所属ミキサーでも誤ってDIRTYワードをかけてしまうらしいが、基本一発でクビになるらしい。でも自分は同じ過ちを立て続けに2回やってしったが、クビになっていないDJも知っている。そういう事もある。

などとなる。



4)制作1 回目


れらのルールに従い作業はものの1週間で完成しただろうか。しかし、ここでやはり自分のスタイルを強調したいのは誰しも思うはず。他のDJのJUMP OFF MIXを聴いていて、頻繁に使用されているアカペラの数々。自分の解釈として、LAの最も渋滞が激しい時間帯の番組である為、車を運転している人達に対して、楽曲そのものは仕方がないにしろ、アカペラまで「LET ME SEE YOUR DANCE」だ、「LADY TO THE DANCE FLOOR」とかどうなのかと思い、敢えて既存のJUMP OFF MIXとは一線を画すスタイルで望んだ。曲数やスクラッチ、トランジション等に気を使った。しかし、それは裏目に出て「もっとゴチャゴチャした作りにしてほしい。」と、要はアカペラ等を多用したLAのDJの間では最もポピュラーとされるスタイルを求められた。。言葉の内容などどうでも良いのである。とりあえず郷に従えと言われてるようだった。その時点で気持ちを込めて作ったこのミックスは泡と消えた。それが去年の10月頃だろうか。しかし、アメリカに移って、色々な免疫力を鍛えられてるので、この却下は原因に対して納得出来る事からも自分にとってどうって事はなかった。日本に居てた頃なら、これが「俺のスタイルだ!」「お前達が分かってない!」などとひょっとしたら怒っていたかもしれない。でもこんな事はよくある事で既に慣れっこになっている。

自分が日本に居た時の文化背景からするとDJが曲を繋ぐ際、曲相互のリリックなどを気にする。しかし、アメリカでは日本のDJほどそこはあまり気にしていないように思える。逆にリリックの関連性などで繋ぐ時も勿論あるが。以前、それを確認していた時期があったが、「楽しかったらそこはOKでしょ。」と言うDJも居た。そんな事を言い出したら、朝の出勤時間や、真っ昼間からラジオでLMFAOの「SHOT」なんかかけてられないという話にもなる。そのように、文化を輸入する事は容易だが、そこに秘められた精神性まではなかなか輸入出来ないものであるとアメリカに移り早い段階で気付いた事を覚えている。これに関しては自分の居てる世界以外でも同じだと思う。しかし、この考えはLA特有かもしれないという事も付け加えておこう。

次回は遂にオンエアされた実際のバージョンをお届けしようと思ってます、オンエアされたミックスはPower106に権利があり(FELLI FELのジングルが入っているため)、現在自由にアップロード出来る許諾を得た段階です。手元に届き次第皆さんにお伝えいたします。それでは今日はこの辺で。