年末ということで第九を。
フルトヴェングラーの第九といえば、1951年、第二次大戦後初めて再開されたバイロイト祝祭音楽祭の開幕を飾った歴史的名演奏ですが、今まで出回っていたEMI盤とは違う、新音源のテープが発見されたというのですね。


ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&バイロイト(1951 バイエルン放送音源)
icon

EMI盤はリハーサルの音源とともにつぎはぎしたものだけど、このORFEO盤は真のライヴ録音―と聞いていたんですが、リンク先のHMVのレビュー見ると話はそう単純ではないみたいですねえ。
僕が持っているEMI盤はとにかく音が悪くて、それに慣れるのに時間がかかるのですが(それでもさすがはフルトヴェングラーで、アダージョ・モルト・エ・カンタービレなんか特に素晴らしい)、音質のほうも気になるところです。

ところで第九って、全曲で一時間以上かかる曲だけど、あの有名な歓喜の歌の旋律が初めて登場するのが、開始後50分ほど。しかも、合唱で、よく聞くちゃんとした形で出るのって、一度しかないのですね(^^; ここがポピュラー音楽ではありえない、クラシックらしいところなんですねえ。
あんまり日常的に聴く曲じゃないけど、たまに聴くと、あの出だしから最初のテーマが一段落する部分だけでも当時としてはケタ外れのスケールで、(おかしな言い方だけど)ブルックナーもマーラーも出る前に、あれほどの曲を書いたベートーヴェンはやはり音楽史上の「革命家」だなと思います。
ところでこの演奏、吉田秀和さんは客席で聴いているんですよね。すごい話だなあ。そういえばクナッパーツブッシュのブルックナー8番を聴いていたら居眠りをして(ブルックナーが苦手だったらしい)、目が覚めたらまだ同じ楽章をやっていた(笑:やはりアダージョ楽章でしょうか)なんて今のファンが聞いたら目を剥くようなことも言ってたっけ。

思い出したんですが、去年夏のNHK-FMのSP番組で、DJ坂本龍一でバッハ特集やってたの聴いていたら、フルトヴェングラーの「マタイ」がかかったんですよ。


バッハ:マタイ受難曲(抜粋)[2種:1950年、1952年] フルトヴェングラー(2CD)
icon

バッハ演奏といえば今はオリジナル楽器の団体によるものが主流で、僕もそのキビキビした演奏と鄙びた透明な音色が好きだから、現代楽器によるものはリヒターあたりのものでも聴かなくなってしまってるんですが、フルトヴェングラーに至ってはロマンもロマン、大ロマン主義の演奏ですよ。番組では曲中で何回か出てくる有名なコラールがかかったんだけど、これが遅い!すさまじく遅い。しかも合唱が、消え入るような、ヴィブラートというのも違う、まるでう~~ら~~め~~し~~や~~とでも言いそうな震える声で歌うものだから、聴いてるこっちは夏の夜に縮み上がったですよ。これは久々に衝撃的でした。フルトヴェングラー恐るべし。でもコラール1曲であの調子じゃ、受難曲全曲なんて、永遠に終わらなそうな気になるよなあ

HMVジャパン クラシック検索

マタイのロマン的な演奏では、メンゲルベルク盤が歴史的名演として名高いですよね。これはずっと聴いてみたいと思ってるんだけど、いまだに聴けていない。

バッハ:マタイ受難曲
バッハ:マタイ受難曲 メンゲルベルク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団


第二次大戦前夜、1939年4月2日アムステルダムにおけるライヴ。