夕凪の街 桜の国
夕凪の街 桜の国

監督:佐々部清 出演:田中麗奈, 藤村志保, 伊崎充則, 麻生久美子, 堺正章, 吉沢悠, 中越典子

原爆をテーマにした作品です。
声高に怒りや憎しみを表明することなく、むしろ淡々とその悲しみを映していきます。原爆の直接的な惨状の描写もほとんどなく、代わりにその後数十年にわたり、さらに世代を越えて続く苦しみを知らしめていきます。

まことに当人に何の落ち度がなくても、ひとたび「傷」を負ってしまえば、それが世間的・社会的な「負い目」となってしまうのがこの世の常であること、そして、麻生久美子の死に際して、「なぁ嬉しい? 13年もたったけど、原爆落とした人は私を見て、やった!またひとり殺せた、ってちゃんと思うてくれとる?」という「静かな怒り」に満ちたセリフがあるけれど、人を効率的に殺す研究は、今もどこかの機関や会社で営々と続けられている、という事実にも思いを巡らせてしまいます

映画としては、キャスティング的に一部テレビドラマ的な軽薄さを感じさせるところがなくはなかったけど、まずは秀作といえましょう。

さて小池里奈ちゃんは、主人公の近所に住む「トロい子」の役なんだけど、これがなかなか絶妙のキャスティングなんですよ。ちょっと涙を誘う役なんだけど、里奈ちゃんはその哀しみを、たくまず表現していたと思います。
他子役は、中越典子の子供時代役に同じベリーベリーの飯島夏美。田中麗奈の子供時代役にスウィートパワーの小松愛梨

ところでこの映画は、こうの史代の原作をほぼ忠実になぞったもののようです。
夕凪の街桜の国

作者がこの漫画を描くことになった経緯も知ってるし、非常に評価の高い作品でもあるようですが実は未読。一度目を通しておかなきゃと思います。

また、最近の原爆ものの映画では、このドキュメンタリーも評価が高いようです。
ヒロシマナガサキ
ヒロシマナガサキ

監督:スティーヴン・オカザキ

これも見ておきたいと思います。